蚊よけ新技術
2020-12-09 16:40:01

蚊に刺されにくい肌表面を実現する新技術の開発

蚊に刺されにくい肌表面を実現する新技術の開発



近年、地球温暖化や交通網の整備に伴い、蚊の生息範囲が広がっています。これは、蚊を媒介として感染する様々な病気のリスクを高めており、特にデング熱については年間3億9千万人以上が感染しているとされています。特に感染リスクの高い地域に住む人々にとって、蚊に刺されないことが非常に重要です。

従来、蚊を防ぐ手段としては忌避剤の使用や肌の露出を減らすことが推奨されていましたが、実際に蚊に刺される率は高いという調査結果が、特にインドネシアやタイ、ベトナムで明らかになっています。このような状況に対抗するために、花王は新しい蚊よけ技術の開発に着手しました。

蚊が嫌う肌表面の研究


花王は、蚊が降り立ってもすぐに飛び去る方法を研究。蚊は脚先を使って安定した態勢を整えた後、吸血行動を始めますが、もしすぐに離れられれば、吸血されることはありません。

そこで、さまざまな表面に対する蚊の行動を観察したところ、水を嫌う特定のオイル塗布表面では、蚊がすぐに飛び去ることがわかりました。特に、低粘度のシリコーンオイルを用いた場合、蚊は短時間でその表面から離れることが確認されています。

濡れ現象と吸引行動の相関


蚊の脚が液体に接触した際、その液体が脚に濡れ広がるかどうかが重要です。例えば、低粘度シリコーンオイルに接触した場合、表面張力が働くことで、蚊の脚がその液体に引き込まれる力が発生します。実験の結果、毛管力によって蚊が逃避行動を取ることがうかがえました。実際、蚊の脚がシリコーンオイルを塗布した基板に触れてから飛び去るまでの時間は3秒を超えないことが判明しました。

ヒトの肌を用いた実験の結果


花王はヒトの肌に基づいた試験も行い、何も塗布しない状態の平均吸血率が85%であったのに対して、低粘度のオイルを塗布した場合ではわずか4%に留まる結果が得られました。これにより、新技術の効果が確認され、蚊の吸血行動を大幅に抑制できることが示されました。

カバの“赤い汗”から得たヒント


また、花王は自然界の蚊よけの例として、カバの分泌液が蚊を抑制する可能性に着目しました。カバの皮膚が分泌する“赤い汗”は、紫外線防護や保湿のほか、蚊から身を守る効果も持つことが示唆されています。

和歌山県のアドベンチャーワールドから得たカバの分泌液とシリコーンオイルを比較した実験でも、どちらも蚊の降着を抑制できることが確認されました。この結果は、カバの分泌液が蚊から身を守る生物学的な機能を持つことを象徴しています。

まとめ


花王が開発した新技術は、これまでの忌避剤とは異なるメカニズムで蚊から肌を守る画期的な手法です。この技術のさらなる開発により、感染症から人々を守る商品への応用が期待されます。

会社情報

会社名
花王株式会社
住所
東京都中央区日本橋茅場町1-14-10
電話番号

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