新薬開発と国民保険制度の複合的な提言
2021年4月1日、一般社団法人 日本パブリックアフェアーズ協会は、政策提言レポート『国民皆保険制度を次世代に引き継ぐために~給付と負担の再構築に向けた一考察~』を発表しました。このレポートは、佐藤主光教授(一橋大学大学院経済学研究科)の監修の下、印南一路教授(慶應義塾大学総合政策学部)と五十嵐中准教授(横浜市立大学医学群健康社会医学ユニット)などの専門家が協力して作成したものです。
背景と目的
新型コロナウイルス感染症の影響で、日本のワクチン開発が遅れたことは社会的な危機意識を多くの国民に与えました。この危機を契機に、我が国の創薬力を高めることが求められています。特に、サプライチェーンの海外依存の増加や、ドラッグ・ラグおよびドラッグ・ロスの問題に取り組む必要があります。本レポートでは、国民の健康を守るための国家の役割と、日本が国際的な創薬エコシステムの中での存在感を高める方法を提言しています。
主な提言内容
1. 創薬力強化とサプライチェーンにおける存在感向上
創薬力の向上は短期間では達成できないため、10年単位での戦略的取り組みが必要です。その中で、日本独自の創薬エコシステムを築くことが重要です。具体的には、モノづくりを核としたイノベーション推進、海外の経営資源を活用したベンチャー企業の育成を提案しています。
2. イノベーションの評価向上と医療保険財政の健全性
イノベーションの推進と医療保険財政の健全性を両立させるためには、承認申請のプロセスの迅速化やコスト計算方式の見直しが必要です。また、薬剤費の変化に応じた柔軟な評価制度の導入も提言されています。
結論
新薬開発と国民保険制度の変革は、日本の医療における重要な課題です。今後も市民、学者、政治家、行政が参加するオープンな議論の場が必要です。当協会は、民間の知恵を活かした解決策を提案し、持続可能な医療体制の確立に務めていきます。
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