キヤノンが新たな半導体製造装置を発表
2023年10月13日、キヤノンは新型のナノインプリント半導体製造装置『FPA-1200NZ2C』を発表しました。これは、従来の投影露光技術とは異なる方式でパターンを形成する、先進的なNIL(Nanoimprint Lithography)技術を採用しており、半導体製造に革新をもたらすものです。
従来の投影露光装置は、ウエハーに塗布されたレジスト(樹脂)に光を当て、その結果、回路パターンを焼き付けます。しかし、『FPA-1200NZ2C』は、ウエハーのレジストに対して、あらかじめ製造したマスクを押し付けることで、直接的に回路パターンを刻み込む仕組みです。光学系を介在させないことにより、マスクに施された微細なパターンを高精度でウエハーに転写可能としています。
この新しいアプローチにより、Low消費電力・コスト効率良く、最先端のロジック半導体製造レベルの5ナノノード相当である最小線幅14nmのパターン形成が実現されることになります。この技術は、特に先端半導体開発の現場において、次世代の製造工程の確立に寄与すると期待されています。
特に注目すべきは、今回の『FPA-1200NZ2C』が米国テキサス大学オースティン校に支援されたコンソーシアム、TIE(Texas Instruments Exchange)に向けて出荷されることです。TIEは、先端半導体の研究開発や試作品製造を行うためのオープンアクセス施設を提供し、半導体技術の革新を促進する役割を担っています。この施設では、州政府や自治体、半導体企業、国立研究所などが協力し、先端パッケージング技術を含む様々な技術の課題解決に貢献することを目指しています。
今後もキヤノンはナノインプリント半導体製造装置に特化した研究開発を続け、半導体製造技術の向上を後押ししていく方針です。これにより、より効率的で持続可能な半導体製造の実現に貢献することを展望しています。
新しい技術の動向に注目が集まる中、キヤノンのこれからの進展には期待が寄せられています。TIEとの連携によって、半導体業界全体の発展に寄与することができるかが鍵となるでしょう。次世代の半導体製造に向けた道筋を切り開くこの技術が、今後どのように市場に影響を与えていくのか、目が離せません。