シンガポールの建設業界において、デジタルトランスフォーメーション(DX)が今、進行中です。DataLabs株式会社は、シンガポールのRATEC Asia社との提携を通じて、同国の建設市場に新たな風を吹き込もうとしています。この提携により、「Modely」を活用した建設業務の効率化が期待されており、特にプレキャスト工法が主流となった現場での課題を解決するための強力なツールとなることでしょう。
1. 背景と建設業界の現状
シンガポールでは、持続可能な建設方法や高効率化が求められる中、プレキャスト工法が注目されています。建物の各部材が工場で製作され、現場で組み立てられるこの方式は、品質管理や作業時間の短縮に寄与しますが、問題も少なくありません。特に、配筋完了後に必要な全数検査が工程遅延の原因となることが多く、この非効率性は納期に大きな影響を及ぼしています。
2. 「Modely」の革新性
この検査プロセスに革命をもたらすと期待されているのが「Modely」です。このシステムは3Dデータを活用し、配筋BIMの設計値を自動登録し、As buildモデルと比較することで、自動で検査を行う機能を持っています。これにより、インスペクターが実際に現地に行かずとも、データ上で配筋が設計通りに施されているかを確認することが可能になります。その結果、工事の工程短縮や品質向上が期待されます。
3. ASEAN地域への展開
シンガポール建設庁(BCA)がBIMを必須としていることもあり、「Modely」はすでに整った基盤をもとに、ASEAN諸国への展開に期待が寄せられています。特にコロナ禍以降は、遠隔地での検査を推進する動きが強まっており、シンガポールでの「Modely」の需要は増加しています。2023年度のインフラDX大賞でも評価されたこのソリューションは、100社以上で導入実績があり、与信を得たサポート体制も整っています。
4. RATECの役割
RATEC Asiaは、シンガポールの建設業界において、磁気型枠技術などの革新的なプレキャストコンクリートソリューションを提供している企業です。その専門性とASEAN地域の業界関係者との強いネットワークを活かし、「Modely」の導入を加速させるという理念を持っており、将来的な展開が楽しみです。
5. 代表者のコメント
RATECの代表であるレイモンド氏は、「Modely」が持つ3Dモデル作成の能力を非常に高く評価しており、これにより遠隔検査や監視が新たなレベルに引き上げられると期待を寄せています。また、DataLabsの田尻代表も、RATECとの強固な信頼関係を築いており、今後の共同開発が進むことを楽しみにしています。
6. DataLabsの取り組み
DataLabs株式会社は、2020年に設立したスタートアップ企業で、3次元データ技術を基盤にした様々なクラウドシステムを提供しています。その取り組みは社会のデジタルインフラを刷新することを目指しており、多くの目に見える成果を上げています。
今後、シンガポール及びASEAN市場においてどのような進展が見られるのか、引き続き注目が必要です。新たなテクノロジーが伝統的な産業を変える今、DataLabsとRATECの提携はその先駆けとなることでしょう。