中野市が、人気漫画『彼女、お借りします』とコラボレーションし、新たな観光体験を提供するプロジェクトが始まります。このコラボは、同市出身の漫画家である宮島礼吏先生の作品を基にしたデジタルコンテンツで、AR(拡張現実)技術を活用し、実際のロケーションと作品の世界を融合させます。具体的には、2024年12月8日から2025年2月28日までの期間、カスタム作成されたARコンテンツが、市内の指定されたスポットに展開されます。利用者はスマートフォンアプリ『XR City』を通じて、特定の場所を訪れることで、リアルとデジタルが融合した体験を楽しむことができます。今回の取り組みは、中野市が観光振興を進める中で、デジタル技術を利用して交流人口を増やし、地域活性化を図る重要な一歩となります。
中野市では、新たな観光地の創出や魅力発信の強化を目指し、デジタル技術を駆使した観光DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みを進めていますが、コロナ禍の影響で観光利用者数が大幅に減少している現状がありました。このため、人気漫画家の協力を得て、AR技術を使った観光ソリューションの導入が決定したのです。
このプロジェクトでは、宮島老師の描き下ろし短編漫画『長野県中野市番外編~宮島と彼女~』に登場する、特定の場所に関連するストーリーを蓄積し、実体験に没入できるようなコンテンツが提供されます。実際に登場人物が歩んだ道を辿りながら、物語の情景が目の前に現れる様子を楽しむことができます。
主なARスポットには、一本木公園(バラ公園のエピソード)、小野りんご園(さくらんぼ狩りのエピソード)、湯の駅ぽんぽこ(温泉のエピソード)、高丘工業団地交差点(先生の思い出の場所)などが設定されています。訪れることで、キャラクターたちの物語を体感しながら、地域の美しい風景を楽しむことができるでしょう。
さらに、各ARスポットにはLINEとの連携機能があり、チャットを通して市内の特定箇所へと誘導される仕組みです。観光を促進するためのこの取り組みは、参加者に製本された短編漫画を抽選でプレゼントするなどの特典も用意されています。
このプロジェクトは、ARコンテンツが体験できる『XR City』アプリのダウンロードによってアクセス可能です。スマートフォンやタブレットからダウンロードし、街中や自宅でも新感覚のAR体験を楽しむことができます。
中野市では、コラボ関連のイベントも開催予定で、2024年12月8日には『なかのかのかり祭』が行われます。魅力的なコラボグッズの販売や、小冊子の配布も計画されており、多くの人々に楽しんでもらえるイベントとなるでしょう。このように、AR技術を取り入れた新しい観光体験が、中野市の地域振興に寄与することが期待されています。
この取り組みの実現には、中野市をはじめ、講談社、NTTスマートコネクト、株式会社NTTコノキューなど多くの企業や団体の協力が不可欠です。それぞれの役割を活かしながら、このコラボレーションが成功を収めることを願っています。