360度の自由な視界を実現するロボット
最近、病気で入院している子どもたちが遠隔授業を円滑に受けられるよう、360度首を振ることができるロボットの試作機が完成しました。このプロジェクトは、公益財団法人ベネッセこども基金の助成を受け、岡山県教育委員会との連携のもと進められています。
このロボットの開発が始まったのは2017年。パソコンやiPadを使用した双方向の学習支援の実績を積み重ねてきました。また、コロナの影響でオンライン授業が普及する中、入院中や自宅療養中の子どもたちが授業に参加できる環境を整える必要性が増してきています。
ここで注目したいのは、長期にわたる入院治療を強いられている子どもたちの存在です。彼らが地元の学校とのつながりを保ちながら、授業に参加したり、休み時間に友達とおしゃべりを楽しめたり、運動会や卒業式などの学校行事に参加することが可能になることを目指しています。
利用者からのポジティブな反応
ロボットの操作を実際に体験した利用者からは、以下のような声が寄せられました。
- - "自分が見たい方向にロボットを移動できて、とても良かった。"
- - "音声や映像は通信環境に依存するが、全体的に良好だった。"
- - "上下に首が振れないのは残念だが、左右の動きだけでも、距離感を感じられた。"
- - "映像を拡大する機能があるとさらに良い。"
- - "初期設定さえ済ませれば、簡単に運用できそうだ。"
これらのフィードバックを重視し、今後の改善のための参考にしていきます。
未来への運用計画
今後の展望として、試作機を実際の教育現場で活用しながら、ニーズに合った改良を行う計画があります。また、Chromebookをロボット側に設置して運用できるタイプも開発中です。さらに、アプリのインストールが不要でChromeブラウザから直接操作できるバージョンの開発も進めています。
全国に約4.6万人、岡山県内に約1,000人の長期欠席中の子どもたちが、自宅療養中でも地元の学校の授業を気軽に受け、友達との交流を深めることができる社会を目指しています。このプロジェクトは、学びにも遊びにも貢献し、地域全体の支援を強化することに貢献できるでしょう。
NPO法人ポケットサポートの役割
このロボットの開発を手掛ける認定NPO法人ポケットサポートは、岡山市を拠点に小児がんや心臓病を持つ小学生~高校生とその家族を対象として、様々な支援活動を行っています。入院中から退院、復学、自宅療養に至るまで継続的な支援を提供し、希望を持てる未来を築くことを目指しています。
特に、入院中の子どもたちが感じる孤立感や精神的ストレスを軽減するための交流イベントやピアサポートが求められており、これらの取り組みを通じて、子どもたちの「普通の生活」に近づける努力を続けています。
まとめ
病気やケガを理由に学校に通えない子どもたちが、自分らしく成長できる社会をつくるために、ポケットサポートは活動し続けます。360度首振りロボットがその一助となり、子どもたちが学びや友達との交流の機会を持てることを期待しています。