岡山大学が「ダウラギリV峰初登頂50周年記念講演会」を開催

2025年5月25日、岡山大学津島キャンパスに位置する創立五十周年記念館で「ダウラギリV峰初登頂50周年記念講演会」が行われました。このイベントは、1975年に岡山大学のネパールヒマラヤ学術登山隊がダウラギリV峰（7,618m）に史上初めて登頂した記念を祝うもので、多くの関係者や学生が集まりました。

当日は、岡山大学山岳会の片山貴寛事務局長による開会の挨拶の後、那須保友学長が祝辞を述べ、山岳会会長の香川弘昭氏が「ダウラギリ初登頂50周年によせて」と題して、山岳会の歴史とその活動の意義を振り返りました。

講演内容と歴史的瞬間の回顧

講演会では、各時代の学術登山や国際遠征に関する講演が行われました。最初に、1967年からの遠征前の事例について石原武美氏が、ヒマラヤ遠征に先立つ偵察の活動について触れました。1975年のダウラギリV峰登頂の過程については、隊長の定金司郎氏が「大山からヒマラヤへ」と題し、克服すべき課題や登頂への思いを語っています。その後、森岡政明氏が「登頂者に選ばれて」について自身の経験を語り、湯本泰弘氏が隊員およびシェルパの健康管理に関する話をシェアしました。

1979年以降の遠征についてもOBたちが参加し、それぞれの体験やエピソードが披露されました。1986年のトリプラ・ヒウンチュリ峰、1990年のガッシャブルムI峰登頂の話も交えられ、岡山大学の山岳会がどのように成長してきたのかが詳しく語られました。

登山と学術の融合

また、石原氏は「熱帯農業の体験からネパール農業への寄与」という講演を行い、登山の経験がどのように学術的活動に結びついたのかを詳しく解説しました。登山を通じた国際的なつながりの広がりや、登山と学術の融合がもたらす成果についての考察は、参加者に深い感銘を与えました。

心に残る閉会のあいさつ

講演会の締めくくりとして山﨑裕晶氏が「大山からヒマラヤへ、そして再び大山へ」と言い、岡山大学山岳会の歴史と未来について感慨深く語りました。また、岡山大学校友会の「山の家」の補修へのサポートにも触れ、地域とのつながりの重要性を訴えました。香川会長は、山岳会の歩みを一堂で伺えたことに感動し、登山の過程には多くの見えないものがあることを再認識しました。

次世代への精神の継承

この記念講演会は、岡山大学山岳会が築いてきた歴史を振り返りながら、登山に対する熱い想いと精神を次世代へ受け継ぐための素晴らしい機会となりました。岡山大学としても、地域への貢献を含め、引き続き特色ある研究大学として活動を続けていくことを期待されております。将来に向け、多くの若き登山家や学び手が岡山大学から育っていくことに期待が寄せられています。