新たな計算基盤の誕生
EmotionX株式会社(東京都港区、CEO:吉水康人)とChiptip Technology株式会社( CEO:福田エリック)の連携により、次世代の計算基盤が実現しました。両社の協業によって、FPGAを利用した完全準同型暗号(FHE)の計算がクラウド環境で可能になりました。これにより、高度なデータ分析やAIの利用が進む医療や金融分野での機密データの安全な処理が期待されています。
背景
技術の進展に伴い、データ利用の高まりとプライバシー保護の両立が急務となっています。機密データは、分析を行うために一度復号されることが一般的ですが、これは情報漏洩のリスクを伴います。FHEは、暗号化されたままデータに対して計算を行えるため、この問題を解決するための有力な手段として注目されています。しかし、その導入には高性能な計算基盤が必要でした。
EmotionXは、FPGAを活用した高速な暗号計算技術を開発し、その運用は難しいという課題への解決策を求めていました。そこで、ChiptipのFPGAオーケストレーション技術を導入し、Kubernetesを基盤とした計算基盤を構築することになりました。これにより、複数のFPGAを束ねて並列に動作させることが可能になり、状況に応じて必要な計算能力を柔軟に拡張できるようになりました。
協業の内容
Chiptipの開発した「vFPGA Orchestrator」は、KubernetesによるFPGA資源の管理を可能にし、暗号化データをそのまま扱うクラウド基盤の実現を見据えています。この技術により、次のような効果が期待されています:
- - 暗号データが暗号のまま計算できるクラウド基盤の提供
- - FPGAクラスタを規模拡大し、FHEの計算能力を向上
- - ホストCPUを必要とせず、低コストでアジャイルな分散高速計算の実現
- - KubernetesによるFPGAリソースの最適管理
この新基盤により、データセンタースケールでのFHE活用が進むと考えられています。
今後の展望
今後は、FPGAをクラウドネイティブな計算リソースとしてさらに発展させ、FHEをデータセンタースケールに拡大させる計画です。また、EmotionXは先進的な半導体技術へと移行するため、ASICの開発を進めていく考えです。ASICは特定用途向けに設計されるため、処理性能と電力効率に優れていますが、開発には長期間の投資が必要です。そのため、FPGAベースのクラウド基盤を活用して顧客のフィードバックを基に迅速なサービス展開を実現し、ASIC開発のリスクを軽減する狙いがあります。
終わりに
EmotionXとChiptipの協業は、多くの領域でのデータ活用を促進する可能性を秘めています。吉水CEOと福田CEOによるコメントでも、両者の技術がもたらす未来の展望に対する自信が伺えます。新たな技術革新が今後も進む中で、安全なデータ活用が現実のものとなるでしょう。
企業情報
- - EmotionX株式会社: FHE技術を中心に、クラウド基盤と専用ハードウェアの開発に注力。多様な領域でのデータ活用を推進。
- - Chiptip Technology株式会社: FPGAクラウド基盤の運用に特化したプラットフォームを提供し、半導体開発の未来を支援。