高屋永遠が新たに発表したアート作品の全貌
アーティストの高屋永遠が新作、「Morphology of Breath 呼吸の形態学」を発表しました。この作品は、CO₂を活用した次世代ポリマー素材を使用しており、気候変動に対処するための試みとして注目されています。高屋は、呼吸の循環に関わるCO₂が新たな物質に変換される過程を探求し、光や身体、環境といった要素が交差する現象を表現しています。
新素材とその背景
本作で用いられているCO₂由来のポリマー素材は、有機化合物と反応することで生成された新しい物質です。このポリマーは、地球温暖化の原因とされるCO₂を原料として再利用できる特性を持ち、環境への負荷を減らすだけでなく、物質の光学的な揺らぎを可視化する可能性を秘めています。
高屋はこの変換プロセスを通じて、生命と環境の循環が表現される新たな可能性を見出しています。また、作品内ではCO₂由来のポリマーと微細粒子や鉱物片、光学層を組み合わせ、光の入射角や湿度、温度によって層構造が変化する様子を視覚的に表現しています。
アートと環境課題への意識
今回の作品は、資生堂の金子亮介研究員との共同研究の成果でもあります。CO₂が地球温暖化を助長する中で、脱炭素社会に向けた研究は急務です。この新素材の試みは、国内外で前例が少なく、アートを通じての環境問題へのアプローチとしても意義が高いと言えます。
高屋はこの素材に着目し、社会的な背景や光学的な特性を利用して“現象的な表現媒体”へと昇華させています。彼の作品は、物質と環境、そして鑑賞者の身体が交わる新たな知覚の場を生み出しています。
作品の構成と知覚の体験
「Morphology of Breath」では、CO₂由来のポリマーを重ねており、光の入射角によって反射の様子が変わります。湿度や温度のわずかな変化がこの構造に影響を与え、作品は“呼吸する表面”として存在します。このような変化により、観賞者は物質の変化を直に体験することができるのです。
高屋永遠のアートへの情熱
高屋は様々な専門分野とのコラボレーションを進めてきたアーティストです。土や植物、金属などの素材を用いた独自の研究を通じて、異なる領域の知識をアートに取り込んでいます。彼の最新作では、環境問題や素材生成のプロセスをアート作品に再解釈し、芸術が社会とどのように関わるかを問い直すきっかけを創出しています。
また、高屋の活動は、社会的なテーマとも結びついており、能登半島地震の復興支援プロジェクトにも関与しています。彼の作品は、光や身体、環境が交差する「現象の絵画」へと昇華されています。
高屋永遠のプロフィール
高屋永遠(たかや・とわ)はロンドン芸術大学セントラル・セント・マーティンズを卒業。東京を拠点にしています。視覚認識に基づく新たな体験を追求し、独自の光環境や色材を用いて新しい視覚経験を構築しています。今後も彼の作品やプロジェクトから目が離せません!