2025年マーサー・CFA協会グローバル年金指数の結果
マーサーとCFA協会は、今年で17回目となる『マーサー・CFA協会グローバル年金指数』を発表しました。このインデックスは、各国の年金制度を評価し、より良い退職所得制度の設計に向けた改善点を示すものです。
各国の評価について
今年の評価では、オランダ、アイスランド、デンマーク、イスラエルの退職所得制度が高評価を維持し、A評価を得ました。特に注目すべき点は、シンガポールが初めてA評価を達成したことで、これによりアジアで唯一のA評価国となりました。これらの国は、安定性と持続可能性において卓越したシステムを構築していることが示されています。
一方で、香港特別行政区はその健全な投資戦略によりB評価に上昇。一年前よりも大きな改善を見せており、その投資戦略は他国にも影響を与える可能性があります。マレーシアもC+に進展し、韓国、日本、中国は健全性において顕著な向上を示しました。
世界的な傾向と課題
この調査は、年金制度が直面する課題を明らかにしています。世界的に不確実性が増している中で、年金基金の資産成長とその活用は、政府にとって重要な課題となっています。特に、多くの国が、年金基金の投資活動において、国の経済目標を優先するよう促しています。
マーサーのシニアケンサルタントであるChristine Mahoney氏は、政府が年金制度の変革に直面していることを強調し、「年金改革は簡単ではない。利害関係者全員が参加し、強靭な制度を作るための対話が重要だ」と述べています。
CFA協会のCEOであるMargaret Franklin氏も「年金基金の役割は、受託者責任を果たしつつ、経済の成長に寄与するものでなければならない」と強調し、政府の行動がどのように年金基金に影響を与えるかについて警告を発しています。
各国の政府の役割
年金制度の設計において、世界中の政府は長年にわたり重要な役割を果たしてきました。特にイギリス、カナダ、オーストラリア、マレーシアなどはインフラやイノベーション支援のために年金基金の活用を促しています。一方、他国では、年金基金が財務だけでなく環境、社会、ガバナンス要素を考慮することが求められています。
マーサーのパートナーであるTim Jenkins氏は「政府が義務を課すのではなく、投資オプションの魅力を高めることが重要」と述べ、政府と民間セクターの協力が理念であると主張しています。
日本の年金制度の現状
日本では年金資産運用の自由度が高く、特定の資産クラスに対する制限は少ない状況です。しかし、運用の自由度は一方でリスクを伴うため、有識者の意見や透明性の確保が求められています。マーサーの年金コンサルティング部門シニアコンサルタント、漆山綾香氏は「ガバナンスの強化や金融リテラシーの向上が、長期的な受益者の利益を最大化するために不可欠である」と語っています。
結論
今回のマーサー・CFA協会グローバル年金指数2025は、年金制度の健全性向上が持続的に進んでいる結果を示しました。80を超えるスコアを持つ国々は、質の高い退職金制度を保証しており、制度の改善が進む中で、各国の取り組みがどのように反映されていくのか注目です。