三菱商事株式会社と独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が、米国e-fuel事業会社Infinium Holdings, Inc.に出資して新たな低炭素燃料製造プロジェクトに参加することが発表されました。このプロジェクトは、テキサス州のコーパスクリスティにおけるe-fuel製造1号案件に続き、同州での2件目の商業規模でのe-fuel製造案件「Roadrunner」の立ち上げを目指しています。
Infinium社はこの「Roadrunner」案件に関して、稼働開始時には世界最大規模のe-SAF(合成航空燃料)製造能力を備えたプラントが稼働することを予定しています。同社はe-fuelの製造において世界をリードしており、特にグリーン水素と二酸化炭素を原料にした合成燃料の生産に注力しています。従来の化石燃料に代わる低炭素燃料の一種であり、化石燃料に依存しない持続可能な燃料として注目されています。
実際、Infinium社は商業規模での低炭素e-fuelの世界初の生産者であり、さらなる技術展開を米国や他地域で計画しています。三菱商事はこの出資を通じ、e-fuelの需要増加が見込まれる中で、知見を深めることが目標です。また、将来的には日本市場へe-fuelの供給を視野に入れ、Infinium社が検討中の案件への参加も模索していくとのことです。
加えて、JOGMECはこの出資を通じて、三菱商事の取り組みを支援することで、e-fuelのサプライチェーンの構築や早期の社会実装を目指しています。特に、Infinium社のe-fuelは航空機や自動車などの内燃機関でそのまま使用できるドロップイン燃料で、既存の化石燃料に比べて90%以上のGHG(温室効果ガス)排出量削減が期待されています。これにより、航空や運輸といった低・脱炭素化が難しい産業においても貢献が見込まれています。
JOGMECは2022年の法改正以降、低・脱炭素分野における機能を強化し、この分野での初めての出資採択案件としてInfinium社への出資を決定しました。三菱商事とJOGMECは、協調出資を通じて、持続可能な社会の実現に向けた取り組みをさらに推進していく考えです。
Infinium社に関しては、2020年に設立され、グリーン水素と二酸化炭素を利用して新しいタイプの合成燃料を製造しています。この技術は、化石燃料や食料を原料とせず持続可能に生産できる点が大きな特徴です。また、同社の提供するe-SAFやe-Dieselは従来の航空機やトラック、船舶でもそのまま利用可能であるため、脱炭素化への貢献が期待されています。Infinium社の公式ウェブサイトでは、詳細な情報が公開されており、興味を持たれる方はぜひ訪れてみてください。