発達特性を生かした新たなIT人材の活躍の場を創出する取り組み
2024年に設立された「ニューロダイバーシティマネジメント研究会」は、発達障がいを持つ人々の能力を引き出し、高度なIT業界での活躍を支援することを目的とした新しい試みです。この研究会は、株式会社日本総合研究所を中心に、アイディルートコンサルティング株式会社、SCSK株式会社、株式会社セブン銀行、TIS株式会社など多くの企業が参画しています。
設立の背景
発達障がいを持つ人々は、一般的に人口の約10%を占めると言われています。彼らはコミュニケーションや環境に適応することが難しい場合もありますが、論理的思考力や高い洞察力という独自の強みを持っていることもあります。最近では、こうした特性を「ニューロダイバーシティ」として捉え、彼らの能力を最大限に活かす取り組みが世界中で注目を集めています。特に海外の金融機関やIT企業では、発達障がいを持つ人の雇用が進んでいますが、日本の状況はやや遅れているのが現実です。実際、発達障がいを持つ人々の就職率は、一般的な大卒と比較して約30ポイント低いとの調査結果もあります。
このような状況を改善すべく、発達障がいのある人々がその特性を最大限に発揮できる業務を特定し、効果的なマネジメント手法を整備することが急務とされています。研究会はそのための方法論を模索し、効果を測定していく計画です。
研究会の活動内容
本研究会の主要な活動は二つに分けられます。
1. 業務特定とマネジメント手法の検討
参画企業の実務をモデルに、発達障がいの特性に基づいて業務プロセスを再設計し、必要な職場環境や体制を整える方法を研究しています。特に、IT領域に着目しており、これは海外での成功事例を参考にしています。例えばオーストラリア内務省では、発達障がいの特性が評価され、ICT人材としての採用を行っています。
この活動は、実際に発達障がいを持つ人々にインタビューを行い、彼らの経験やニーズを踏まえた研究へとつなげます。具体的な業務を絞り込みながら、特性を活かした新たな業務の設計を行っていきます。
2. インターンシッププログラムの設計
発達障がいを持つ人々が実務環境での経験を積めるよう、インターンシッププログラムを設計することも重要な役割です。これにより、彼らが実際の業務を経験しながら、自身の強みを見つけていくことが期待されます。2025年度以降には、設計したプログラムを試行し、その効果を測定していく予定です。
最終的な目標
「ニューロダイバーシティマネジメント研究会」の最終的な目標は、発達障がいを持つ人々が広く採用され、IT業界で活き活きと働き続けられる社会を築くことです。サポート体制を整え、様々な業務や産業でのキャリアパスを拡大することで、発達障がいのある人々が自身の能力を存分に発揮できる環境を作り出すことを目指しています。
この研究会の設立は、発達障がいのある人々にとって新たなチャンスと成長の場を提供し、彼らが持つ特性を最大限に活かせる社会を実現する一歩となるでしょう。今後の活動に注目が集まるのは間違いありません。