こどもの心を紐解くエッセイ集『65人のこどものはなし』
2023年7月25日、光村図書出版から発売された書籍『65人のこどものはなし』は、親子で楽しむことができる心温まるエッセイ集です。この本には、児童文学雑誌「飛ぶ教室」に掲載された37篇のエッセイと、28名の作家による「こども・大人」辞典が収められています。著者たちは、こどもにまつわる特別な思い出やエピソードをつづっています。
このエッセイ集は、かつて「こども」だった大人にも、今まさに「こども」である人々にも共感を呼び起こすような内容となっています。忙しい夏の読書にもぴったりの、4~5ページにまとめられたエッセイは、気軽に手に取ることができる魅力を持っています。特に、小学生や中学生のお子さんにとっても随筆の世界に親しむ良いきっかけとなることでしょう。
収録エッセイの一部紹介
本書には多彩な作家によるエッセイが収められています。村田沙耶香の「尾上先生コンプレックス」では、筆者の幼少期の担任の思い出が描かれています。成長を経ても忘れられないその魅力について語られ、読者には懐かしい感情が呼び起こされるでしょう。川上和人の「進化生物学的よかったさがし」では、かつて赤面症であった著者が今、どのように過去を受け入れているのかが描かれています。また、町田康の「親に似る」では、友人の子どもとの交流を通じて見えてくる親子の絆について考察しています。
こどもと大人の視点をつなぐ辞典
28名の作家による「こども・大人」辞典では、こどもと大人の違いをユニークに捉えています。人はいつまでこどもで、いつから大人になるのかという問いは、世代を超えて共感を呼ぶテーマです。現代に生きる私たちがどのようにこの二つの状態を捉え、どのように心を通わせていくのか、考えさせられる機会になります。
編集者のメッセージ
本書の編集を担当した久津野氏は、誰にでも大切な「こども時代」があり、その思い出には懐かしさと温かさが伴うと語っています。「心と体で世界に触れ合ない日々を思い出して、もう一度自分に会いに来てほしい」と、エッセイ集の持つ力を強調しています。
これまでの記憶を呼び起こす一冊として、『65人のこどものはなし』は様々な体験や思い出が詰まった宝箱のような存在感を持っています。子育て中の方や、これから思春期を迎えるお子さんに対しても豊かな読書体験を提供することでしょう。家族揃って、心温まる時間を過ごしながら、この本の pagesをめくってみてはいかがでしょうか。