長野・須坂市の「農ケーション」実証実験
長野県須坂市で、老舗温泉旅館「古城荘」とシャインマスカット農家「岡木農園」が協力し、リモートワークと農業体験を融合させた新しい形の「農ケーション」を実証実験しています。これは、農業の人材不足、地域経済の活性化、リモートワークの普及を背景にした取り組みです。
実証実験の背景
新型コロナウイルスは、地方にある観光業に多大な影響を及ぼしました。また、農業分野でも、コロナの影響で海外からの技能実習生が確保しにくくなり、この問題は深刻化しています。一方で、都市部では80%以上のIT企業がリモートワークを実施しており、従業員の可処分時間が増加しています。この流れを受け、地方への移住を考える人も増えてきました。
今回の取り組みでは、須坂市の行政、農業、観光業、都市部の人々がそれぞれの課題解決のために協力し、実証実験を行います。
実施内容と参加者
実証実験が行われるのは、2023年の6月下旬から7月上旬にかけて。東京に住む外資系IT企業の社員が、須坂市の古城荘でリモートワークを行い、隣接する岡木農園で農業体験を行います。参加者は、各種シェアリングサービスを活用しながら、快適な滞在を楽しむことができます。
実証実験の目的は、農家、都市部の人材、地域の観光業が相互に利益を得るモデルを構築することです。これにより、移住を促進し、農業人口を拡大しながら新しい事業やまちづくりに貢献することを目指します。
参加者の声
旅館「古城荘」の代表である寺島さんは、「旅館業の厳しい現状を打破するために、須坂の魅力を新しい視点から引き出したい」とコメントしています。また、「岡木農園」の岡木さんは、都会からの人材支援が農業のIT化にもつながるという期待を寄せています。参加者のIT企業のTさんは、リモートワークをしながら自然に触れられる機会を楽しみにしており、心身のリフレッシュを期待しています。
感染症対策
新型コロナウイルスの影響を考慮し、参加者やスタッフは移動前に検査を行い、期間中も毎日検温を実施します。農作業は屋外で行い、密を避ける配慮もされています。また、宿泊施設の古城荘は、全国的なガイドラインを遵守して運営されています。
参加企業の紹介
- - 古城荘: 名湯・須坂温泉を持つ老舗旅館。美肌の湯と呼ばれ、アクセスが良く、自然に囲まれた環境が魅力。
- - 岡木農園: 大正時代から続く伝統ある農家で、長野県の美味しいぶどうを生産。果物の販売先は多岐にわたる。
- - Qtas Japan: アグリテイメント事業を展開し、オンラインでの果物狩りイベントを運営。
このプロジェクトを通じて、地域の活性化とともに、農業とITの融合が進むことが期待されています。