鹿児島大学がAIを活用し方言継承と教育現場改善に挑む

鹿児島大学のAIを活用した取り組み

近年、鹿児島大学ではAIを活用した先進的な教育プログラムが注目を集めています。特に、方言継承をめぐる取り組みや、学生の論理力向上、教員の業務負担軽減に焦点を当てた事例が挙げられます。今回は、株式会社miiboの代表取締役である功刀雅士氏が行った坂井美日准教授へのインタビューを基に、これらの取り組みを詳しく紹介します。

方言継承とAI技術

鹿児島の方言が消滅の危機に瀕している中、地元の言語文化を守るために何ができるかが課題となっています。坂井准教授は、自身の体験を通じて、この問題に取り組む決意を固めたと語ります。高齢者が日常的に方言を話す一方で、若い世代は標準語を用いることが増え、コミュニケーションのギャップが生じています。この実用的な問題を解決するため、文系出身の教員たちがノーコードAI開発サービス「miibo」を活用し、「カルカンちゃん」という方言対話AIを開発しました。

このAIは、高齢者のQOL向上や方言を学ぶ際の練習相手として好評です。また、奄美方言特有の7母音体系など、方言の特性に対応した技術も導入されており、約80%の認識精度を実現しています。これにより、方言の保存だけでなく、実用的なコミュニケーションの向上が期待されています。

教育現場でのAI活用

次に、教育現場におけるAIの役割に注目します。鹿児島大学の1年生の半数以上がAIを使った経験がなく、恐れを抱く学生たちが多いことが分かりました。この現状を踏まえ、文系教員はmiiboのノーコード開発環境を利用して、教育アプリケーションの開発に取り組んでいます。特に、学生が苦手とする「問いを立てる」課題に対して、対話型の論理力向上クイズボットが開発されました。これにより、学生たちはゲーム感覚で楽しみながら学ぶことができます。

また、教員が1日に数十件のレポートを添削する負担を軽減するために、AIによる事前チェックシステムも整備されています。AIを活用することで、教員の負担を減少させつつ、教育の質を向上させる新しい手法が確立されています。

未来の教育と方言継承の挑戦

以上のように、テクノロジーを駆使した教育の未来には多くの可能性があります。方言の継承に関しては、AIが文化的課題の解決に寄与するという新たなモデルを提示しています。また、教育におけるAI活用は、教員の業務負担を軽減し、学生の学びを深める手助けとなるでしょう。今後も鹿児島大学の取り組みは、全国の教育現場におけるAIの導入促進の一助となることが期待されています。