地域振興を目指す株式会社殿上のM&A
福島県いわき市に本社を構える株式会社殿上は、地域の飲食業に新たな風を吹き込む存在として注目を集めています。この度、株式会社殿上はフューチャーベンチャーキャピタル株式会社(以下、FVC)やいわき信用組合などが共同で設立した磐城国地域振興第2号投資事業有限責任組合(通称:磐城国2号ファンド)からの出資を受け、事業承継を実現しました。
投資先企業とその進化
株式会社殿上は、代表の新妻篤氏が長年の日本料理人としての経験を活かし、2017年に「和食処とのがみ」を開業。以降、いわき市内での店舗を増やし続け、地域の食文化を支える存在となってきました。新妻氏は、いわき市の地元料理を提供しながら地域の人々に愛される飲食店を育ててきたのです。
一方、今回のM&Aの相手先となった「うどん香蔵」は、小名浜花畑町に位置し、9年間の歴史を持つ讃岐うどんの人気店です。日々多くの客が訪れるこの店は、経営者の意向で譲渡先を模索していたところ、株式会社殿上との縁が結ばれました。
事業承継の経緯
事業承継において、株式会社殿上は、以下の理由から「うどん香蔵」を選びました。
1. 同業種であること
2. 売上が年間を通じて安定していること
3. 立地が株式会社殿上の店舗近隣であること
4. オペレーションマニュアルやレシピが整備されているため、将来的な多店舗展開が見込まれること
こうした条件を踏まえ、M&Aを通じて事業の譲受を決定したのです。いわき信用組合もこの取り組みを積極的に支援し、地域の重要な飲食店の事業承継の成功に貢献しました。
磐城国2号ファンドの役割
磐城国2号ファンドは、コロナ禍からの事業再生や改善を目指す企業を支援するために設立されました。福島県いわき市や双葉郡を拠点とする企業を対象に幅広い業種に投資を行っており、資金用途についても限定が少ないため、さまざまな企業のニーズに応じた支援が可能です。これまでに5社への投資を行っており、地域の経済活性化に寄与する姿勢を見せています。
未来への展望
株式会社殿上は、地域に愛される飲食店としてさらなる成長を目指しています。M&A後も、資金調達の支援を受けながら、事業の改善や新たなビジネス展開に挑戦する意向を示しています。また、地域の特産品や食材を利用した新メニューの開発に注力し、観光客や地元の人々に新しい食体験を提供することで、地域経済全体の振興にも貢献していく考えです。
今後も株式会社殿上は、地域愛に溢れる飲食業を展開し、福島県いわき市の魅力を全国に発信していくことが期待されています。