小説『夜と跳ぶ』が描く新しいスケートボード
2024年7月19日、株式会社PHP研究所から額賀澪著の小説『夜と跳ぶ』が発売されました。これはスケートボードの世界を新たな視点で描いた作品で、額賀氏のデビュー10周年を記念する作品です。物語の舞台は、ストリートスケーターの聖地・渋谷。ここで、かつての金メダリストである少年・大和エイジと、仕事と私生活がともに厳しい状況にある中年カメラマン・与野丈太郎が出会うことで物語が展開していきます。
この小説の特徴は、スケートボードをただの「ボーダー」ではなく、「フィルマー」の視点から描いている点です。フィルマーとは、スケートボードの撮影を手がけるカメラマンのこと。彼らが並走や追走しながら捉えるトリックは、まさに生のスケートボードの魅力を伝える重要な要素なのです。ストーリーは、与野がエイジの滑りに魅了されながら彼のフィルマー役を引き受け、その過程で二人の関係性が変わっていく様子が描かれています。
物語は、実際の渋谷を舞台にしており、リアルなストリート文化を体験できるという点も魅力です。各章は、渋谷の名所や路地をタイトルにしており、例えば「渋谷ヒカリテラス16」や「宇田川プーケットナイト99」など、具体的な場所が盛り込まれています。さらに、物語の中には、連続強盗事件や通り魔事件という現実的なトラブルも織り交ぜられ、緊張感あふれる展開が続きます。
著者の額賀澪は、スケートボードについての認識が変わる経験を語っています。彼は以前はスケートボードを「街中で見かける若者の遊び」と捉えていましたが、東京五輪でのパフォーマンスを目の当たりにしてその認識が変わったと述べています。「競技としてのアクロバティックな技はスケートボードの一部に過ぎず、その魅力はもっと深いものだ」と感じ、取材を重ねつつ小説を執筆した経緯を明かしています。読者は、この作品を通じてスケートボードの見方が一変することでしょう。
本書のプロデュースには、楽天グループと株式会社ストレートエッジが協力しています。これにより、コンテンツ展開の新たな可能性を示す試みとなっています。また、今冬にはこの作品の第2巻も予定されており、今後の展開に期待がかかります。楽天ブックスの公式サイトでは、作品の詳細も確認でき、興味を持った方はぜひチェックしてみてください。
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