志摩市での住民参加型防災訓練
三重県志摩市で、地域住民と宿泊施設の連携による「住民参加型防災訓練」が行われました。この訓練は、南海トラフ地震を意識し、実際の災害時に備えた内容でした。
訓練の背景
2025年12月10日、志摩地中海村と大崎自治会は、志摩市防災危機管理課の協力を得て、訓練を実施しました。南海トラフ巨大地震の危険性が高まる中、地域住民と宿泊施設が協力して避難所運営を検討することが目的です。当日は、26名の住民を含む総勢94名が参加しました。
協定の重要性
志摩市と志摩地中海村は、大規模災害時に避難所として使用する協定を2020年に締結しましたが、実際の訓練は行われていませんでした。このため、大崎地区特有の課題—震度7の地震による孤立や高齢化—を踏まえ、初めての合同訓練が企画されました。
訓練の設定条件
訓練では、夜間・冬季という厳しい条件を設定し、住民が主体的に関わることを目指しました。災害時には混雑し、人員が限られる中で、住民が互いに支え合う姿勢が重要になります。これが「施設任せの防災」から脱却するための鍵です。
訓練シナリオ
訓練は、市内で震度6強の地震が発生し、津波警報と崖崩れにより大崎地区が孤立するシナリオです。大崎会館が満員になり、住民が志摩地中海村に避難するという流れで進行しました。
訓練の実施
訓練は、志摩地中海村内レストラン「アスール」で受付を行い、その後、代表社員からの説明が行われました。参加者は班ごとに役割分担し、実践的な訓練を開始しました。屋外の暗闇で発電機の起動や、炊き出しの準備を行い、避難者ケアに至るまで幅広い対応を検証しました。
課題の明確化
訓練を通じて、以下の実際的な課題も明らかになりました。
- - 発電・照明: 暗闇での機器操作は難しく、手元照明の重要性が浮きぼりになりました。また、発電機の操作が体力的に大きな負担となる一方で、延長コードが転倒リスクを生むことも確認。
- - 炊き出し: 低温下での炊き出しは時間がかかり、温かい食事が避難者に安心感を与えることが実感されました。
- - トイレ設営: 暗所作業による照明の必要性や、女性用トイレの増設が求められることも論議されました。
意見交換と今後の方針
訓練後には参加者同士の意見交換会が行われ、訓練に対する満足度が94.8%に達した一方で、防災意識の向上が求められる成果もありました。定期的にこのような訓練を続ける意義が再認識されました。
結論
この訓練を通じて、「住民」「施設」「行政」が役割を理解し合い、顔の見える関係を築くことが重要であると認識されました。今後も協定に基づき、持続可能な防災体制の構築を目指して活動していきます。