近年、ホームセンター業界は様々な変化に直面しています。特に、人口減少を背景にしたオーバーストア状態は、店舗の収益を圧迫し、新規出店による収益増加の戦略が再評価される必要性を生じています。こうした状況を受け、アークランズは新たな方向性として、顧客体験を重視したECシステムの再構築を進めました
アークランズ株式会社は、新潟県三条市に本社を置き、「ムサシ」や「ビバホーム」といったホームセンターを運営する企業です。そのアークランズが、東京都江東区に本社を構えるSCSK株式会社との協働で、ビバホームの公式オンラインショップのECシステムを根本から再構築しました。この取り組みは、顧客を中心に置いたビジネスモデルの強化を目指したものであり、まずは第一歩を踏み出した形です。
1. 背景と目的
近年のホームセンター業界は、商圏に対する商業施設の供給が過剰なオーバーストア状態にあり、同業他社との競争が加激化しています。いわゆる新たな収益戦略、特に店頭とオンラインを組み合わせたOMO(Online Merges with Offline)施策が重要視されています。アークランズは、2022年9月に株式会社ビバホームを吸収合併して新生アークランズとして歩み始めましたが、合併前の各社が持つIT資産や会員情報の統合がなされておらず、シナジー効果の発揮に苦心していました。
そこで、アークランズはEC事業の利便性を向上させるため、CXサービス「altcircle」を通じた豊富な実績を持つSCSKと手を組むことで、あらたなECシステムを導入しようと決断しました。SCSKの強みであるデジタルマーケティングに基づく伴走支援が期待されているのです。
2. SCSKとの取り組み
今回のシステム基盤の再構築によって、アークランズは多角的な取り組みを行っています。主な施策の一つが、店舗とECを融合させるOMO施策です。この施策により、顧客はECサイトで取り扱っている商品の状況を把握でき、オンラインで購入した商品を店舗で受け取ることが可能になります。これにより、顧客体験の向上が期待されます。さらに、SCSKのデジタルマーケティング支援を受けて、顧客データを基にしたマーケティング体制を構築中です。
第二に、業務の効率化も図っています。これまで独立していた商品検索サイトとECサイトを統合し、新ECサイト「ビバホーム公式オンラインショップ」にまとめたことで、メンテナンス工数の削減と集客効率の向上を実現しました。
第三に、業務効率も見直されました。従来は複数のシステムを駆使していた商品登録や受注処理を、シンプルなシステムへと刷新しました。この変更により、より多くの商品をECサイトで提供できるようになりました。
最後に、在庫情報の一元管理が叶ったことで、売り逃しや過受注のリスクが大幅に減少し、顧客は安心して購入できる環境が整っています。
3. 導入ソリューションとシステム構成
今回のECシステム基盤再構築では、SCSKが提供する複数の先進的なソリューションが導入されています。ECフロントシステムにあるSalesforce B2C Commerceを起用し、リアルタイムのデータ分析やAIによるパーソナライズを実現。バックオフィスにはF.ACEを採用し、オムニチャネル施策に対応しています。また、各チャネルのデータを一元管理するため、PCS、SCS、StoreOMSも活用されています。
4. 今後の展望
アークランズは、今回の再構築を顧客起点のビジネス変革の第一歩として位置付けています。今後は、会員基盤の強化やスマホアプリの刷新を進め、「わかりやすく、便利な」顧客体験を提供するためのOMOおよびオムニチャネル施策の実現に向け、さらなる取り組みを続ける意向を示しています。
アークランズおよびSCSKが共に取り組む新たなECシステム、今後の進展に注目です。