5月9日は「呼吸の日」
毎年5月9日は、呼吸の重要性を再確認する「呼吸の日」です。この日に合わせて、インスメッド合同会社が実施した調査結果が発表されました。調査の対象は、咳や痰の症状が一週間以上続いている、または病院を受診した30代から70代の男女1,030名です。
咳や痰の症状を自覚しながら受診しない実態とは
調査結果から、咳の症状があると回答した人のうち、男性の56.5%、女性の49.5%が医療機関を訪れていないことが分かりました。また、痰の症状を抱える人では、男性57.1%、女性55.0%が受診していませんでした。これを踏まえ、未受診の理由として多かったのは、「病院に行くほどではない」というもので、特に男性は81.7%、女性は75.9%の回答がありました。
内訳から見える認知度の低さ
さらに、肺NTM症や気管支拡張症といった疾患の認知度は驚くほど低く、肺NTM症を「知っている」と答えたのは男性7.6%、女性9.9%という数字でした。気管支拡張症に関しても、認知度は男性14.8%、女性17.1%にとどまっています。これは、インフルエンザや新型コロナウィルス感染症の認知が90%以上であるのとは対照的です。
専門家の警鐘と健康への影響
慶應義塾大学医学部の長谷川直樹先生は、肺NTM症と気管支拡張症はともに慢性かつ進行性の疾患であり、特に中高年のやせ型の女性に多く見られると警告しています。これらの病気は、長引く風邪の症状と誤解されがちで、受診につながらないケースが多いのです。咳や痰は、体からの危険信号とも言え、特に2週間以上続く場合は医師に相談することが強く推奨されています。
肺NTM症についての知識
肺NTM症は、非結核性抗酸菌が肺に感染することで発症する疾患です。日本では、人口10万人あたりの罹患率は急速に増加しており、肺結核を上回る状況です。主な症状は咳や痰、倦怠感や体重減少があり、個々の症状の程度は非常に多様です。厚生労働省によると、肺NTM症が原因で亡くなる人もおり、特に注意が必要です。
気管支拡張症の理解
気管支拡張症は、炎症や感染、呼吸器の清掃機能の異常によって気管支が拡張する重篤な疾患です。症状は慢性的な咳や息切れ、呼吸器感染の繰り返しが特徴で、頻繁に悪化することがあります。
最後に
咳や痰が2週間以上続く場合、単なる風邪だと考えず、早期に医療機関を受診することが重要です。呼吸の日を契機に、自分の健康を見直し、必要な場合には専門家の診断を受けることを強くお勧めします。この日を通じて、呼吸器疾患に対する理解が深まることを期待しましょう。