建築費高騰の今、建てない土地活用の新提案を考える
土地活用の選択肢が変わろうとしている中、その代表的な一冊『建てずに儲かる土地活用』が登場しました。著者は一級建築士で公認不動産コンサルティングマスターの緒方大介氏です。この書籍では、現代の土地活用の問題点を明らかにし、実際の相談事例を交えながら「建てない」という選択肢の重要性を説いています。
建築費が高騰する現代の土壌
コロナ前からの経済環境の変化により、建築費は実に約30%も上昇しました。この背景には、資材費の高騰や人手不足、円安など様々な要因が絡み合っています。これに対し、賃貸料がそれに伴って上昇しているわけではなく、多くの地域では賃料の伸び悩みが見られます。結果として、新たに建物を建てることへのリスクが増加しているのが現状です。
「建てること」の判断を見直す時が来たのではないでしょうか。従来の常識に従えば「土地があるなら建物を建てる」という方程式が成り立っていました。しかし、選択肢を多く持つことが、より良い運用につながるのかもしれません。
節税目的の土地活用に潜む落とし穴
土地の有効活用において、節税対策が重要視されることが多いですが、その選択肢には注意が必要です。住宅メーカーから勧められる「建築による土地の評価額圧縮」は、しばしば落とし穴に繋がります。実際、相続税の評価額を抑えることができたとしても、資産価値がその分下がってしまっては本末転倒です。特に立地条件に恵まれない土地では、建物を建てたことで資産価値が低下し、結果的に「含み損」を抱えるリスクがあるのです。
土地活用の具体的4つの選択肢
本書では、土地活用の選択肢として次の4つを提示しています:
1.
現状維持プラス(駐車場利用等)
比較的ロハスな方法で、駐車場など一時的な運用で収益を得るものです。元の状態に戻しやすいのが特徴です。
2.
建築活用(アパート・店舗など)
本格的な収益化を狙いますが、立地条件や収益性の確認が必須です。
3.
売却+組み換え
はじめに土地を売却後、収益性の高い物件に再投資するという戦略です。
4.
現金化
土地を売却し、現金化することで、資産の分散投資を図る。借入の負担を避ける選択として効果的です。
それぞれの選択肢には、リアルな事例を通じてその成果や顛末が詳述されており、地主の思考過程や選択の理由に理解が深まります。
必読のレギュラーチェック
本書は、以下のような方々に特におすすめです:
- - 土地活用について悩む地主様
- - 住宅メーカーからの提案に疑問を抱えている方
- - 相続対策を視野に入れた土地活用を考えている方
- - 高騰する建築費について懸念を持つ不動産オーナー
- - 次世代に負担を残さない資産承継に悩む方
著者紹介
緒方大介氏は、株式会社リフレムの代表取締役として数々のプロジェクトに取り組み、幅広い知識と経験を持つ不動産の専門家です。これは単なるビジネス書ではなく、土地活用を志向するすべての人にとってのバイブルとなることでしょう。
書籍『建てずに儲かる土地活用』は、今後の不動産運用において不可欠な一冊です。手に取る価値があるこの機会に、ぜひお読みいただくことをお勧めいたします。