クレジットカード不正利用の現状を読み解く
2025年4-6月に発表された「キャッシュレスセキュリティレポート」は、クレジットカード情報が流出する事件やECサイトにおける不正利用の傾向について詳細にまとめたものです。本レポートは、株式会社リンクとCacco株式会社が協力して作成したもので、特に注目すべきは、不正注文検知数ランキングで「ふるさと納税」が初めて1位になったことです。これは、従来、チケットやアパレル、家電などの換金性の高い商品が主に不正利用の対象とされていたことを考えると、非常に興味深い変化です。
1. 不正注文検知数ランキングの変化
従来は、特に高額な商品がゴールデンターゲットとされていましたが、今回のレポートでは、ふるさと納税が不正利用の新たな焦点として浮かび上がったことがわかります。これは納税額と換金性を結びつけた新しい視点を提供し、今後の対策の必要性を示唆しています。この変化は、納税という社会貢献を行う個人にとっても大きな脅威をもたらす可能性があります。
2. 不正利用の発生率の公表
日本クレジット協会が発表した「不正利用発生率」のデータも注目です。これにより、従来の被害額だけでは見えてこなかったリスクをより明確に把握できるようになりました。具体的には、被害額は5年間で約2倍に増加しているものの、不正利用の発生率は0.037%から0.047%にとどまり、1.27倍の増加に留まっています。このデータはキャッシュレス決済の普及に伴う不正利用の実態を明らかにし、企業にとってのリスク管理の重要性を再認識させるものです。
3. 国際的なサイバー犯罪対策の動き
また、インターポールによる国際的な対策も注目に値します。特に、インフォスティーラーと呼ばれる情報窃取型マルウェアの撲滅作戦において、約2万件の悪性IPアドレスが特定され、警察も協力して国内関連サーバーの遮断を進めています。このような国際的な取り組みは、単独では解決できないサイバー犯罪に対処するための協力体制の重要性を強調しています。
4. 今後の展望
「キャッシュレスセキュリティレポート」は、カード情報漏洩や不正利用に関する実態を知るための重要な参考資料です。企業が自社のリスクを理解し、他社との比較を行ううえでも非常に有用です。情報の多様化とともに、最新の不正手法に対する理解を深めることは、企業経営にとって不可欠な課題となっています。
最後に、今後のレポート公開は毎年1月、4月、7月、10月に行われる予定です。最新情報を常にアップデートし、不正被害を未然に防ぐための方策を講じることが求められています。これからの動向に注目し、さらなるセキュリティ強化に努めることが重要です。