2025年8月24日、国際宇宙ステーション(ISS)に特別なアイマスクが持ち込まれる予定です。このアイマスクは、三生医薬株式会社が開発した「香るカプセル」を採用しており、実際に宇宙飛行士の油井亀美也さんによって使用され、その効果が検証されることになります。理想的なリラックス環境が求められる宇宙において、この新しいアイマスクはどう活用されるのでしょうか。
開発の背景
本プロジェクトの背景には、「宇宙と地上、双方の暮らしをより良くする」という志があります。国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)による「きぼう有償利用制度」を活用し、三生医薬を含む3社が連携して新たなリラクゼーション体験を提供しようとしています。近年、宇宙飛行士は長期滞在中に様々なストレスや疲労に直面するため、リラックスの重要性が高まっています。このアイマスクは、その課題解決の一助となることでしょう。
アイマスクには、ユーザーが自分の好みのタイミングで小さなカプセルを潰すことで香りが広がる仕組みが組み込まれています。この香りは、自然の香りを模した精油から作られており、地球の自然を思い出させ、心身のリフレッシュに役立ちます。油井宇宙飛行士からは、「オン・オフの切り替えに役立つ」という感想も寄せられています。
具体的な技術
三生医薬は、IRiS Tokyoをパートナーに、天然精油のブレンドを封入した高密封シームレスカプセル技術を開発しました。このカプセルは、宇宙環境でも安定して機能し、香りの鮮度を保つことができます。また、ニトリはこのアイマスクに吸湿発熱素材「Nウォーム」を採用し、香りと温もりを調和させて快適な睡眠環境を提供することを目指しています。
視覚と嗅覚の融合
このプロジェクトの重要なポイントは、視覚と嗅覚の融合です。宇宙という特殊な環境の中で、視覚的なストレスや、快適な睡眠のための環境が整えられています。アイマスクのデザインは、自然の安らぎを感じられるように考案されています。実際、油井さんは宇宙滞在中にこのアイマスクを試し、香りによって地球の故郷を思い起こさせる体験を得たことを語っています。
地上への展開
実は、この「香るカプセル」は宇宙だけでなく、地上での多様な生活シーンへの展開が期待されています。長距離移動時や医療・介護の現場、さらには避難所生活における心理的サポートとしての活用が見込まれているのです。特に夜勤や不規則な生活を強いられる方々にとって、このアイマスクは快眠をサポートする貴重なアイテムとなる可能性を秘めています。
未来への展望
今村社長は、受け取った宇宙飛行士のフィードバックは今後の製品開発や改良において貴重な指針になると述べています。また、三生医薬はこの経験を通じて、健康やリラクゼーションに寄与する新たな製品展開を進めることを目指しています。今後、市場にはどのような新しい商品が登場するのか、大いに期待されます。
プロジェクトの成果として、地上での活用も視野に入れながら、さらなる研究と開発が進められています。これからの進展に注目していきたいところです。