歴史的建築を舞台に展開される新たな演劇体験『騒がしい二階』配信中

映像演劇『騒がしい二階』の魅力

2023年9月8日から10月30日まで、歴史的建造物である海老原商店を舞台にした映像演劇『騒がしい二階』が配信中です。この作品は、母を亡くしたエルゼの心の旅を描いており、ラップ音をきっかけに青森のイタコを訪れることになります。そこで、彼女が思いを寄せる母からの想像を超えたメッセージを受け取ることになり、観客も思わず引き込まれるストーリーが展開されます。

海老原商店という特別な劇場

千代田区に存在する海老原商店は、「景観重要建造物」に指定されており、一見すると洋風レトロな趣がある独特な建物です。この店は、復興期に作られた看板建築の一部であり、見た目は洋風でも中身は和風という、和洋折衷の魅力が凝縮されています。そんな特殊な建物が舞台になったことで、現代の演劇表現に新たな可能性を広げています。実際に、観客は本物と偽物、古典と現代が共存する不思議な空間で、演劇の奥深い魅力を再発見することができるでしょう。

和洋折衷のストーリー展開

本作は、日本の伝統芸能である落語と西洋のゴシックホラーとを掛け合わせたユニークな内容が特色です。物語の軸になっているのは、古典落語『二階騒き』であり、登場人物が同一の役を複数こなす入れ子構造の演出が見どころの一つです。そして、二階から聞こえるあの世の音が一階の観客に響き渡るような立体的な演出が施されており、観る者を深く物語に没入させてくれます。さらに、二階の静けさをあの世、そして一階をこの世に見立て、二つの世界が交錯する様子が表現されています。

映像作品としての新たな試み

今回の映像配信に際しては、海老原商店の建物を生かす多くのカメラが使用され、観客は実際に舞台を観るのとは異なる視点から物語を楽しむことができます。また、舞台の一階と二階の演出が映像でも感じられるように工夫されており、記録映像に留まらない、まるで映画のような味わいが生まれています。演劇と映像の境界が曖昧になる新しい体験が、観客を驚かせること間違いありません。