2025年2月14日から15日にかけて横浜市で開催された『第40回日本栄養治療学会学術集会(JSPEN 2025)』では、ネスレ日本株式会社のネスレ ヘルスサイエンスがPHGG(部分加水分解グアーガム)配合流動食に関する重要な研究結果を発表しました。本学会は、静脈・経腸・経口栄養に関する最新の知見が共有される場として、医療関係者の注目が集まっています。
ネスレ ヘルスサイエンスは、患者の栄養管理の向上を目的に、様々な栄養補助製品を提供しており、今回発表された研究では、経腸栄養の投与法を見直すことがメインテーマでした。具体的には、経腸栄養2回投与法の導入が患者の栄養状態に及ぼす影響を検討した調査結果が披露されました。これにより、経腸栄養を受ける患者の生活の質(QOL)向上に寄与する可能性が示唆されています。
研究の背景と経過
流動食の投与は、患者にとって食事に対する拘束時間が長くなり、逆に十分なケアを受ける時間が削られることがあります。このような課題を克服し、同時に医療従事者の業務負担を軽減するために、医療法人旭会園田病院では2023年7月から経腸栄養2回投与法を試験的に導入しました。
この研究では、患者を1日3回投与から1日2回投与に変更した際の栄養状態への影響が検討され、PHGG配合の低粘度ソフトタイプ流動食や高濃度液状流動食を使用しました。結果、3回投与から2回投与への変更に伴い、たんぱく質や塩分の摂取量は有意に減少した一方、エネルギー量は変わらなかったことが確認されました。このことから、栄養状態に問題は生じず、患者のQOLが改善されることが期待されています。
結果と考察
研究の結果、変更前後での栄養状態に臨床上の問題は見られなかったうえに、医療従事者の66%が患者のQOL向上に寄与したと回答し、68%が業務改善に繋がったと考えました。また、流動食の規格について、1バッグ600kcalの流動食を使用した場合、全6例が追加の栄養補助食品を必要としなかったという成果も注目されます。これは、2回投与法が効率的で、結果的にコストと業務時間の削減にも寄与することを示しています。
結論
今回の発表によれば、経腸栄養2回投与法は栄養状態に影響を与えることなく、患者QOLの改善や医療従事者の業務負担軽減が期待できる新たな方法であるとされています。ネスレ ヘルスサイエンスは、この研究結果を踏まえ、今後も科学的根拠に基づいた栄養ソリューションの提供に努め、医療現場での栄養療法の進展に寄与することを目指しています。
この発表は、医療現場における栄養管理の新しい方向性を示すものとして、大きな注目を集めることでしょう。食事療法が求められる患者への配慮が一層進むことが期待されています。