最近、医療器械職人の技術を活かすための新機軸、「SICRASS」が設立された。これは、医療、特に外科手術の現場における器械のクオリティを保証し、技術の存続と進化を促進する試みとして注目されている。その中心に位置するのが、事業を統括する株式会社マイステックだ。
SICRASSとは?
SICRASSは、SURGICAL INSTRUMENTS CRAFTSMAN SOLUSION SERVICEの略称で、脊椎脊髄外科を中心に関節外科やスポーツ整形を対象にした革新的なプラットフォームである。医師、病院、医療機器メーカー、新規参入企業などとの連携により、医療業界が直面している課題の解決を目指している。
主に以下の6つのサービスを展開することが計画されている。
- - SICRASS JTOOL: 高度なチームによる国産医療器械の製品開発
- - SICRASS D'sPRO: 医師からのアイデアを製品化し、販売支援を行う
- - SHOP: 医療器械の販売やカスタマイズ、メンテナンスを請け負う
- - SEMINAR: 著名外科医による専門的な講習や勉強会を開催
- - SICRASS MEMBER: 製品開発に関する情報や協業の機会を提供する会員制プラットフォーム
- - CONSULTING: 現役医師やベテラン営業による新規参入企業への支援
事業開発の背景
日本の医療器械製造の起源は幕末に遡り、多くの職人が育ち、独自の技術文化が形成されてきた。しかし、2000年代に入ってから、関東近郊の医療器械職人の工場は235社から約60社にまで減少し、高齢化や後継者不足が深刻な問題となっている。この状況を受け、職人の手によるオーダーメイドの器械の重要性が再評価されつつある。
医療器械職人の存在価値は、医療ニーズに対して柔軟に対応できることにある。職人が製作した器械は、医療現場で「医療の手」として機能し、外科医にとってパートナーとも言える存在である。この職業が存続しなければ、特注器械の製造が難しくなり、医療の選択肢が限られることになる。
SICRASSの誕生
株式会社マイステックは、東京都主催の「東京ビジネスデザインアワード」でこの課題について提案し、株式会社トムテと共同でSICRASSを立ち上げることに成功した。このプロジェクトには、大学や法律事務所など、多様な専門家との連携が寄与しており、医療業界の課題解決に向けて大規模なチーム体制が形成されている。
今後の展開
SICRASSは今後、板橋区本蓮沼にある「ITABASHI Co-working factory」での活動を拠点に、医療機器製造の現場との強いネットワークを築き、製品の大量生産体制の整備や新規事業の開発を進めていく。これにより、国産医療器械の生産を持続可能なものにし、医師や患者に対してより良いサービスを提供することを目指している。
このように、SICRASSは医療器械における職人技術の存続を図るために、さまざまなサービスを提供し、医療業界全体の品質向上に寄与していく取り組みである。これからの動きに注目が集まる。