株式会社ispaceが、月及び地球と月の間における新たな経済活動を見込んで、月周回衛星を活用した新サービス「ルナ・コネクトサービス」の構想を発表しました。この構想は、2026年に日本橋で行われた事業戦略アップデートで明らかにされたもので、月面および周回の安定的な通信および測位サービスの提供を目指しています。
近年の宇宙開発では、アメリカのアルテミス計画が大きな動きを見せています。2023年に米国では月面インフラの構築に向けた大統領令が署名され、2030年までの具体的な計画が進められています。これに伴い、モノやサービスを月面や周回において効果的に活用するための通信需要が高まっているのです。
ispaceは、2023年と2025年の月面着陸ミッションを通じて、独自に開発したランダーを月周回軌道に投入、運用が可能な能力を証明しました。今後は、月周回衛星を積極的に展開する予定であり、それにより少なくとも5基の月周回衛星を2030年までに投入する計画です。
「ルナ・コネクトサービス」は、広範囲にわたる通信・測位サービスを提供します。具体的には、月面から地球、そして月周回のための安定した通信を助け、月面活動を行うペイロードに位置情報を提供します。将来的には、国際的な通信・測位のスタンダードとなる「LunaNet」に準拠したサービス展開を目指し、各国が取り組む月面通信プロジェクトとの連携も計画しています。
さらに、このプロジェクトは単なる通信にとどまらず、データサービスの拡大にも寄与することが期待されています。月面観測や宇宙状況把握(SSA)などの情報提供も行い、シスルナ空間におけるデータの利活用を進める方針です。市場規模は2040年代には約4,500億円に達する見通しであり、商業活動の拡大が期待されています。
最初のステップとして、ispaceは2027年に米国のArgo Space Corp.との協力により、初の月周回衛星を打ち上げ、同年中に「ルナ・コネクトサービス」の開始を目指します。さらに、2030年までに自社衛星を月周回に投入する計画を進め、クライアントに対してより複雑で多層的なサービスを展開していく見込みです。
また、同社はKDDIとの提携を通じて、通信インフラの整備を進め、月面からのデータ受信のための地上局の機能を強化する予定です。この連携により、安定した月面通信の実現に向けた基盤を築いていきます。
ispaceの代表取締役である袴田武史氏は、「現在の月面開発の流れにおいて、我々は重要な役割を果たしていく」とし、シスルナ空間全体のインフラ基盤構築を視野に入れたビジョンを語っています。今後、月面活動が本格化する中で、ispaceはその発展に寄与していくことに重きを置いています。月周回アセットの活用を通じて、持続可能な宇宙開発の一翼を担う意義を体現することでしょう。