ジュリーの沈黙
2025-06-25 14:24:46

ベルギーの新鋭が描く、少女ジュリーの内なる沈黙を紐解く映画『ジュリーは沈黙したままで』

映画『ジュリーは沈黙したままで』が2025年10月3日に日本公開されることが決まり、チラシやシーン写真も公開された。若き才能が集結したこの作品は、ベルギーを代表し、2025年のアカデミー賞国際長編映画賞のノミネート作品としても注目されている。

本作を手がけたレオナルド・ヴァン・デイル監督は、才能ある15歳の少女ジュリーを通して、スポーツ界における若い選手たちの心の葛藤を描き出す。彼女は自身の将来に期待を寄せられ、テニス界での奨学金を得るほどの実力を持ちながら、意外な出来事に直面する。信頼していたコーチが指導を停止し、さらにその教え子を巡る悲劇的な事件が彼女を深い混乱に陥れる。

映画は、ジュリーが日々のトレーニングを継続する中で、コーチの調査に対して沈黙を貫く姿を描写する。彼女の沈黙がもたらす意味について考えさせられる。映像美や音楽も作品の雰囲気を高め、観客に感情的な体験を提供する。特に35mmと65mmフィルムによる撮影は、ダルデンヌ兄弟を彷彿とさせる自然主義的スタイルで、ジュリーの内面を豊かに表現している。

映画の中で注目すべきは、全ての登場人物がノンプロの俳優であることだ。これは、監督が俊敏な演技を引き出すために、実際のテニスクラブの仲間をキャスティングした結果だ。彼女たちが自然な演技をすることで、ジュリーの心の葛藤がさらにリアルに伝わる。特に、ジュリーがスポーツを逃げ場として活用し、その中で力強さを見せていく姿が印象的だ。

さらに、ジュリーを演じたテッサ・ヴァン・デン・ブルックは、実生活でもテニス選手として活動しており、そのパフォーマンスは説得力を増す。彼女の演技は、ただのフィクションではなく、実際に若いアスリートが直面する現実を反映している。

本作の公開に際して、監督は「ジュリーが沈黙する理由を聞いてほしい」と語った。彼女の沈黙は、ただ弱さを示すのではなく、思慮深さや自己主張の一環でもある。また、テニス界のスターである大坂なおみがエグゼクティブ・プロデューサーとして関与している点も注目される。大坂は過去にメンタルヘルスの重要性を訴えたことがあり、そのビジョンがこの作品にも影響を与えているという。

映画の中では、ジュリーという少女が抱える葛藤、沈黙、そしてその内に秘めた強さがしっかりと描かれている。ジュリーの沈黙は、周囲に独特な印象を与え、時折、強いメッセージとなる。結局、彼女の物語は、私たち一人ひとりが抱える問題を反映しているのかもしれない。それが、この映画の最大の魅力と言えるだろう。

観客はこの作品を通じて、ジュリーの成長と彼女が抱える闇に目を向け、自身の内なる声を見つけ出す旅に出ることができる。映画『ジュリーは沈黙したままで』は、2025年の公開が待ち遠しい一作だ。


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