横河電機とシェルの協業がもたらすプラントメンテナンスの革新
2023年10月、横河電機株式会社はオランダのシェル社と協力し、プラントの監視や保守におけるロボットとAI技術の開発を進める契約を締結しました。この取り組みは、特にエネルギーや化学産業における製造現場に革新をもたらすことが期待されています。
シェルが提供する高度なマシンビジョン技術
協業の一環として、横河電機はシェルが開発した「Operator Round by Exception(ORE)」というマシンビジョンツールを、自社の「OpreX™ Robot Management Core」に統合します。OREは、ロボットがプラント巡回時に現場の計器を読み取ったり、液漏れや機器の異常を検出するなど、多様なタスクを自律的に遂行できるデジタルソリューションです。この技術はシェルが2年間をかけて開発したもので、遠隔監視や腐食管理などのノウハウを生かしています。
OpreX Robot Management Coreについて
横河電機が提供する「OpreX Robot Management Core」は、プラント保守作業を行うロボットの管理プラットフォームです。このソフトウェアは、従来人が手作業で行っていた保守作業を効率よくサポートするために、各種ロボットを統一的に管理できます。また、制御システムと連携することで、リアルタイムのデータを基にロボットに指示を出し、自律的なプラント運用を可能にします。
シェル社のORE技術を搭載することで、このOpreXの機能はさらに広がり、今後はシェルの2つの施設でロボットやドローンによる巡回を試験的に導入し、その結果を検証していく予定です。
産官学連携の新たな試み
この協業は、シェルが2022年に設立したエネルギー・トランジション・キャンパス・アムステルダムにおいて進められる最初のプロジェクトでもあり、エネルギー分野における産官学の連携を支援する役割を担っています。両社はマシンビジョン技術のさらなる発展に向けて、研究開発のロードマップも共有することで、効果的な協力関係を築いています。
未来の製造業に向けて
横河電機のデジタルソリューション統括本部の前田雅治氏は、この協力を通じて「巡回効率の向上が実現し、プラント内での人手不足問題に対処できる」との期待を示しています。また、シェルのCIOであるGerben de Jong氏も、ロボットとAIの組み合わせによる安全性や生産性の向上は、今後の製造業に大きな変革をもたらす可能性があると語っています。
この新たな技術の導入によって、より安全で効率的なプラント環境が実現されることが期待されています。今後も、横河電機とシェルの協業は、エネルギー産業の未来を切り拓く重要なステップとなるでしょう。
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