一般社団法人M&A支援機関協会(以下、本協会)は、M&A(合併・買収)業界の自主規制を強化できる取り組みとして「特定事業者リスト」の改訂を発表しました。このリストは不適切な譲り受け側の事業者情報を共有するもので、その目的は不当な取引を未然に防ぐことです。特に、近年は中小企業の事業承継や成長手段としてのM&Aが広がりを見せていますが、同時に不適切な譲り受け側の問題が浮上しています。そこで本協会は、透明性を高め、取引の健全化を図るため、リストの運用を厳格にすることを決めました。今回の改訂は、2024年10月から始まりました制度の重要なアップデートです。
改訂の主な内容には自動登録される基準の明確化や、登録までの時間短縮、さらに登録期間の延長が含まれます。具体的には、M&A取引実行日から60営業日以内に経営者保証が解除されない場合などが登録要件とされ、新しい規約によって厳格に運用されることが確定しました。これにより、より多くの事例が特定事業者リストに登録される可能性が高まります。また、会員企業数は181社に達し、自主規制ルールの遵守が強く求められています。
特定事業者リストには、事業者名や法人番号、代表者名などの情報が記載されます。新たに47社の入会があったことからも、業界全体がこの取り組みに注目している様子が伺えます。今後、M&Aを検討する中小企業経営者は、このリストを参考に名誉あるM&A支援機関を選ぶことが求められます。特定事業者リストに登録されないことが、安心してM&Aを進めるための一つの指標となりそうです。
本協会によると、具体的な変更内容や新しい登録基準については、すでに公表されたガイドラインに従って運用していくとのこと。これにより不適切な譲り受け側を早期に発見し、M&Aの信頼性と透明性を向上させることが期待されています。また、M&Aに関する苦情相談窓口も整備されているため、疑問点や問題がある場合は気軽に相談することができるようになっています。今後も、本協会は特定事業者リストの運用を通じて、中小企業の適切な事業承継やM&Aの実現に向けて努力を続けていく予定です。
M&Aが一方的な利益追求ではなく、双方にとって有意義な取引になるよう、皆が意識して行動することが求められているのです。この改訂はそういった意識を育てる第一歩として、大きな意義を持つものになるでしょう。特定事業者リストの詳細は本協会の公式サイトでも確認可能ですので、興味のある方はぜひ訪問をしてみてください。