SNS炎上対策、企業の現状と課題
近年、SNSを利用した情報発信が日常化する中で、企業が抱えるリスクも高まっています。弁護士ドットコム株式会社が実施した「企業のSNS炎上対策に関する実態調査」によると、企業の65%が従業員の社名を特定できるSNSアカウントを把握していないことが明らかになりました。これは、SNS炎上によるブランドイメージの毀損や損害を避ける上で、危険な兆候と言えるでしょう。
調査の背景
SNS投稿が原因で企業の評判が損なわれるネット炎上の事例は後を絶ちません。そのため、企業が従業員のSNS利用についてリスク管理や規制を整える必要性が高まってきています。この調査は、企業内のSNS利用に関するルールや教育、実態を明らかにし、炎上リスク対策の現状を把握することを目的に実施されました。
調査概要
調査は、プロフェッショナルテック総研によって行われ、344名の企業法務関係者を対象にウェブアンケートが実施されました。調査期間は2025年6月13日から20日です。
調査結果の概要
企業の炎上経験
調査対象となった企業の5.8%が、自社に関連するネット炎上を経験しています。その内容を見ると、顧客情報を投稿したり、仲間への個人批判、ステルスマーケティングと誤解された宣伝など、様々なケースが挙げられました。
SNSアカウント管理規定
企業のSNSアカウントの管理規定に関しては、56%が「ない」と回答。この結果は、SNS使用に関するルール整備が不十分であることを示しています。
従業員のSNSアカウント把握状況
驚くべきことに、65.1%の企業は社名が特定できる従業員のSNSアカウントを把握していないとのことです。これは明らかに炎上リスクを高める要因となります。
SNSに関する教育・研修
調査結果によると、SNS利用に関する教育や研修が完了している企業はほとんど半数に過ぎません。具体的には、35.5%が「実施したことがない」と回答,半数近くの企業が何らかの形式で教育を行っていますが、依然として不十分です。
炎上対策の課題
SNSにおける炎上対策に関する意見では、67.2%が「従業員への教育・啓発」を重要な課題として挙げています。また、58.1%が「ルールやガイドラインの実効性の確保」を課題とし、45.3%が「炎上発生時の迅速な情報収集」を上げています。
従業員教育のリスク認識
自由回答形式での意見としては、炎上リスクに対する従業員の認識が甘い、また教育しても効果が薄いという声が寄せられました。また、社内ルールが不明確であることや、表現の自由とのバランスを取る難しさに直面しているという意見も多く見受けられました。
まとめ
企業がSNSを通じた炎上から身を守るためには、従業員への教育と適切な管理規定の整備が不可欠です。それにも関わらず、多くの企業がその重要性を認識していないことが調査結果から浮き彫りになっています。今後、SNSの利用リスクを真剣に捉え、具体的な対策を講じていくことが重要です。