EVを活用した新しい電力需給ビジネスモデル
2024年8月、東京工業大学と株式会社メンテルは、EVを活用した電力需給に関する新たな研究成果をエネルギー・資源学会で発表しました。この研究は、2050年のカーボンニュートラルを目指す日本において、持続可能なエネルギーの供給管理を可能にするものです。特に、電力市場取引において重要な役割を果たす「仮想発電所(VPP)」の収益性を評価するためのシミュレータが開発されました。
ビジネス参入の課題
東京工業大学の後藤研究室では、電力需給ビジネスの研究が進められています。この研究には、東京大学の佐川大志特任研究員も参加しており、メンテルはシミュレータ開発の支援を行いました。2050年カーボンニュートラルの実現に向け、脱炭素と電力需給の相互関係が重要視されています。特に、電力取引におけるビジネス参入の障壁が課題として浮かび上がっています。
VPP収益性シミュレータの機能
開発されたVPP収益性シミュレータは、電力需給ビジネスに参入するための小売会社を支援する目的で設計されています。主な機能には以下の3つがあります。
1.
電力需給と電力単価の予測: 気象条件に基づいて、電力需要や発電量、電力単価を予測します。これにより、変動する電力市場に迅速に対応できます。
2.
充放電の年間計画の策定: 予測結果をもとに、取引コストが最小となる受給計画を立案します。これにより、事業者はより効率的な運営が可能になります。
3.
インバランスの影響評価: 電力予測の乖離分をインバランス量として捉え、精算コストを算出。この機能により、リスク管理が強化されます。
今後の展望
現在、このシミュレータはスポット市場を対象としており、オープンデータを主に活用しています。今後は、対象市場の拡大を検討し、実際の試算データを使った検証を進める予定です。拡張された対象市場に対応することで、新たなユースケースを見出し、より実践的な評価を目指します。
組織の概要
東京工業大学
- - 設立: 1881年
- - 所在地: 東京都港区芝浦3-3-6
- - 公式ウェブサイト: 東京工業大学
株式会社メンテル
- - 設立: 2023年4月
- - 所在地: 東京都渋谷区代々木1丁目25番5号
- - 公式ウェブサイト: メンテル
メンテルは、都市と建物に快適な暮らしを提供するため、IoTとAIを活用して設備の制御を最適化するソリューションを展開しています。今後の研究やビジネスモデルの発展に注目が集まります。
この研究が、エネルギー業界における持続可能なビジネスモデルの構築に貢献することが期待されています。