新技術CO₂固定化
2026-03-09 14:31:29

神戸学院大学の新技術がCO₂固定化実証に貢献する意義とは

神戸学院大学の新技術がCO₂固定化実証に貢献する意義とは



近年、地球温暖化の影響が深刻化する中、CO₂の削減は急務となっています。その中でも、大気中から直接CO₂を回収する技術『Direct Air Capture(DAC)』が注目されています。今回、神戸学院大学 薬学部の稲垣研究室が開発したCO₂固体化吸収液『MXDA(メタキシリレンジアミン)』が、田中石灰工業株式会社のCO₂固定化実証プロジェクトに採用されることになりました。本記事では、その内容と意義について詳しく解説します。

CO₂固定化技術の重要性とDAC技術の課題



地球温暖化対策としての大気中からのCO₂除去技術は、近年ますます重要性を増しています。特にDAC技術は、長年の研究の成果として、CO₂回収の有望な手段ですが、その効率には課題が残ります。従来のDAC技術では、吸収剤が水分を取り込むことで、CO₂分離時に加熱エネルギーが余計に必要となり、性能が低下することがありました。

稲垣研究室の『MXDA』技術



稲垣教授の研究室が開発した『MXDA』は、このDAC技術の課題を根本から解決する革新的な吸収液です。この技術によって、アミンの近くに疎水性のフェニル基を追加することで、CO₂を選択的に回収し、逆親媒性を発現させることができるのです。水分を吸収することなく、CO₂だけを取り込むことができるため、CO₂分離時に必要なエネルギー消費を大幅に削減できます。

さらに、MXDAは回収したCO₂を固体化し、スラリーとして扱うことが可能です。これにより、既存のアミンCO₂回収プロセスをそのまま適用でき、吸収液再生にかけた熱を効果的に再利用することができる点も大きなメリットです。

田中石灰工業の実証とMXDAの貢献



田中石灰工業は、岩石風化促進技術を用いてCO₂を固定化する実証実験を開始しました。この技術は、蛇紋岩を粉砕し、その粉末とDACで回収したCO₂を反応させて炭酸塩を生成することで、非常に短期間でCO₂を固定化することが可能です。実験プラントの設置により、自然環境下では数年から数百年かかるプロセスを加速させることができます。

稲垣研究室のMXDAが、このプロジェクトの中心的な役割を果たすことで、大気中のCO₂を効率的に低コストで回収し、同時に資源の有効活用にも寄与することが期待されています。CO₂固定化技術の社会実装を前進させる原動力として、MXDAは重要な役割を担っているのです。

結論



稲垣教授は、MXDAの採用に対し「私たちが長年研究を重ねてきた技術が、重要なプロジェクトに採用されたことを光栄に思います。DAC技術の『含水』という壁を克服したことで、CO₂回収の効率を劇的に向上させました。この技術が、水の力を利用した自然に基づくCO₂固定化プロセスと融合して、脱炭素社会の実現に向けた具体的な一歩を踏み出せると確信しています」と述べています。この技術が、持続可能な未来を築くための重要な一助となることを期待します。


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会社情報

会社名
神戸学院大学
住所
兵庫県神戸市中央区港島1-1-3
電話番号
078-974-1551

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