奈良の平城宮跡資料館で、2025年12月11日から21日まで「尼寺造営-西隆寺跡出土木簡重要文化財指定記念-」と題した冬期特別展が開かれます。この特別展では、奈良時代における西隆寺の設立及びその歴史についての貴重な木簡が展示され、当時の社会や文化を垣間見ることができます。
西隆寺は称徳天皇の命により創建された、名高い大寺院です。その存在は長い間神秘に包まれており、しばしば「まぼろしの尼寺」と称されていました。しかし、昭和40年代の発掘調査によって、徐々にその姿が明らかになってきました。当時の土坑から出土した木簡群は、奈良時代末期の西隆寺の成り立ちを知る上で重要な資料です。
出土した木簡には、おもに人夫に供給された食料の記録、貢進荷札、知識銭の付札、さらには官司等からのさまざまな書類が含まれており、これらは奈良時代の寺院の運営に関する貴重な証拠となっています。特に、奈良時代の社会経済的背景や寺院の意義を浮き彫りにするもので、木簡研究にとどまらず、広範な歴史研究へも寄与しています。
2025年3月21日には、国の文化審議会から「西隆寺跡出土木簡」75点が重要文化財に指定するよう答申が出され、この特別展はその記念として開催されます。来場者は、実際の木簡の展示を通じて、奈良の文化財の保護の重要性や、歴史の深みについて理解を深めてもらえればと思います。
展示期間中には、関連イベントとして12月13日(土)には特別講演会が予定されています。詳しい申し込み情報については、平城宮跡資料館の公式ホームページを通じて後日発表される予定です。
この特別展はすべての入場者に無料で開かれ、開館時間は午前9時から午後4時30分(入館は午後4時まで)です。休館日は月曜日ですが、祝日の場合は翌平日が休館となります。
奈良の歴史を体感し、文化の奥深さを感じさせる貴重な機会に、ぜひ足を運んでみてください。