発達障害の解剖図鑑:新たな理解の扉を開く
2026年1月8日に発売される「発達障害の解剖図鑑」は、これまでの病名中心の理解を超え、60の症状に基づいた新しい視点から発達障害を探ります。本書は、精神科専門医であり、子供の心の診療に長年従事してきた三田晃史氏が著者です。彼の経験を通じて、我々は発達障害の多様性とその理解の重要性に迫ります。
新しい名称への移行
近年、発達障害の診断名は大きな変化を遂げました。2022年には「神経発達症群」という名称が新たに提唱され、従来の障害という固定的なイメージを打破しています。また、ASDは「自閉症スペクトラム症」に、ADHDは「注意欠如多動症」と改名され、より流動的で多面的な捉え方が強調されています。これにより、病名ではなく、その多様な症状に焦点を当てた新たな理解が求められるようになりました。
60の症状の分類
本書では、発達障害に関する特性を60の独自の症状に分けて詳しく解説します。それぞれの特性には個別の理解が必要であり、単に病名で分類されることが適切ではないことが示されています。例えば、ASDの人の3割にはADHD的な気質も見られることが報告されており、これらが共存することが珍しくありません。こうした知見は、発達障害者が直面する多様な生き辛さの理解にも繋がるのです。
個性を尊重した接し方
障害や特性を理解することは重要です。しかし、本書が伝えたいのは、「障害」という固定観念を超えて、個々の「体質」や「気質」に基づいた接し方の重要性です。人はそれぞれ異なり、その違いこそが豊かな個性の証明です。本書では、自分自身の「マイルール」を見つけることで、自分らしく生きる方法を提示します。無理に周囲に合わせるのではなく、オーダーメイドの工夫を重ね、自分の特性にフィットした生き方を目指すことが大切です。
伝わる漫画と共に解説
本書では、発達障害やグレーゾーンの特性を持った人々が直面する様々な課題を、分かりやすい1コマ漫画とともに紹介します。漫画形式であればこそ、難しいテーマでも理解しやすく、読者が心から共感できる工夫が随所に施されています。発達障害の特性を理解することで、自分自身や周囲の人々に対する視点が広がります。
著者の経歴と専門性
著者の三田晃史氏は、大学病院や災害医療センターなどの先進的な医療機関での経験を持つ精神科専門医です。国境なき医師団としてミャンマーで活動し、厚生労働省や内閣府でも勤務してきた経歴があります。様々な立場での医療経験を活かし、特に思春期の子供たちの心の成長を寄り添いながら支えてきました。また、多くの著書を出版しており、幅広い知識を提供しています。
書籍情報
- - 書名:発達障害の解剖図鑑
- - 著者:三田 晃史
- - 仕様:A5判、160ページ
- - 定価:1,760円(税込)
- - 発売日:2026年1月8日(木)
- - ISBN:978-4-416-52539-5
発達障害に対する理解を深めるための一冊として、多くの人に手に取ってほしい本です。自身の気質や体質を見つめ直す機会にもなるかもしれません。