函館市が受賞した日本DX大賞とノーコード大賞の意義
函館市が2025年7月に開催された日本DX大賞2025にて地域DX部門で優秀賞を、同日開催の第3回日本ノーコード大賞において自治体部門で大賞を受賞した。これらの受賞は、函館市がスマホ市役所を導入したことによるもので、特に「子育てに、余白を。」というテーマで行われた取り組みが注目を集めた。
スマホ市役所の導入とは?
函館市は、LINE公式アカウントを活用して住民がスマホから行政手続きを行える「スマホ市役所」を2024年1月に開設する予定だ。この取り組みは、妊娠期から就学前までの行政手続きをデジタル化し、子育て世帯の負担を軽減することを目指している。これにより、従来の複雑な手続きがオンライン上で簡単に行えるようになり、より「やさしい行政サービス」が提供されるだろう。
受賞の背景
全国から158件の応募が寄せられる中、ノーコードツールを用いて職員自身が開発、改善を繰り返していく姿勢が評価された。特に、現場の職員が実際にサービスを設計し、住民目線での意見を反映させている点が高く評価された。これがダブル受賞の大きな要因となった。
取り組みのキーポイント
この取り組みの核心には、「便利さ」だけでなく、「やさしさ」に重きを置いたシステム設計がある。職員はノーコードで自在にデザインや質問内容を設計でき、市民からのフィードバックにも迅速に対応できる体制が整っている。このため、追加費用なしで機能の追加や改善を行うことが可能で、コスト面でも優れた取り組みが実現している。
住民の声
ある住民は、電話で健康教室を予約しようとした際、赤ちゃんが寝ている時間に苦労した経験を語っている。「本当に行政手続きはめんどくさい」との声は多く、これを受けて市が本気で取り組むことになった。住民が抱える実際の悩みが、サービス改善の原動力となり、さらにデジタル化が進む。
DXに向けた函館市の姿勢
函館市が進めているDXの取り組みでは、「やさしさ」を届けることが最も重要だと考えられており、市民一人ひとりに寄り添ったサービス提供を目指している。このようなアプローチが、今後の地域DXにおいての新たなモデルとなることが期待される。
コメント
函館市企画部地域デジタル課の松林静輝さんは、「ノーコードは行政のDXを進める新しい文化だ」と述べ、Bot Expressの「GovTech Express」がその推進力として機能していると語る。多くの自治体が抱える課題を一つひとつ解決することで、市民の満足度を高めていく努力が続けられている。
結局、この取り組みはただの技術の導入に留まらず、地域社会をより良くするために職員が自らの手でサービスを作り上げているという点で、非常に意義深いものとなっている。
今後の展望
今後も函館市は、Bot Express社と共にこの「やさしい行政サービス」を育んでいく方針である。デジタル化が進む中でも、住民の声を反映させることで、市民と行政が共に歩んでいく新たなモデルが形成されることを期待したい。
日本DX大賞と日本ノーコード大賞について
日本DX大賞は、デジタルトランスフォーメーションによって社会やビジネスの課題を解決した優れた取り組みに対し表彰されるもので、ノーコード大賞はその中からノーコードを活用した事例を表彰する。今年の受賞は、函館市のような行政が新たな時代に突入するきっかけになるかもしれない。