絵本を通じた新たな服薬体験
薬を飲むことを嫌がる子どもたちが多い中、楽しく学びながら服薬する方法が模索されています。薬剤師が作成した絵本「ベンゼンじまのポポロン」を用いた研究が、その成功事例として注目されています。この研究では、絵本を通じて小児の服薬コンプライアンスを向上させる効果を調査しました。
研究の概要
このプロジェクトは、2023年3月から2024年3月にかけて行われ、対象は3~6歳の小児およびその保護者です。具体的には、神奈川県にあるまいにち薬局古淵店に来店した子ども74名とその保護者を対象にしています。研究では、絵本の読み聞かせの前後でアンケート調査を実施し、服薬における困難さや服薬指導の重要性についての意識を測定しました。
結果として、服薬時に困難さを感じる保護者の割合は、読み聞かせ前の78.3%から34.7%へと大幅に減少したことが確認されました。このことから、絵本によるアプローチが効果的であることが立証されました。
小児の服薬コンプライアンスとは
小児の服薬コンプライアンスの概念は、治療を受ける上で非常に重要です。3歳以上の子どもが薬を飲むことを嫌がる保護者が66.4%存在し、その理由には「苦味」や「におい」、「ざらつき」といった要素が挙げられます。このような経験から、保護者は様々な対策を講じるも、溶解などの対策が薬の効能に影響を及ぼす可能性があるため、純粋な形で服用させることが求められています。
絵本がもたらす効果
絵本の内容は、薬の正しい服用方法や薬剤師の役割について楽しく親しめるものとなっています。研究では、絵本を読み聞かせた後、服薬指導の重要性を理解したと答えた保護者は64.3%に上りました。また、子どもたちが薬を飲むことに興味を持ち、実際に飲めるようになるというポジティブな相関も見られました。
このように、絵本を通じて薬に対する興味を持たせることで、服薬コンプライアンスの向上へと繋がったのです。さらに、絵本は日々繰り返し読むことができるため、長期的な効果も期待できると考えられています。
薬局と絵本による未来
「まいにち薬局」は、このような社会的課題に対して誠実に向き合い、革新的な解決策を提供する場としての役割を果たしています。薬剤師が作成したこの絵本は、服薬に対する子どもたちの認識を変えるための一助となることが期待されています。この研究が示す結果は、今後の薬剤師活動や服薬指導の方法に新しい道を切り拓くものになるでしょう。
おわりに
今後も絵本を通じた教育方法や、子どもたちの健康に寄与すべく、さまざまな取り組みが進められることを期待しています。薬を嫌がる子どもたちへのサポートとして、絵本の活用が広がり、さらなる向上が図られることを願っています。