大同メタル、新しい風力技術の研究拠点を開設
大同メタル工業株式会社が新たに設立した『風車技術研究所 実験棟』は、風車用すべり軸受の設計信頼性を高めるための重要な拠点です。この実験棟は、佐賀県武雄市内に位置し、延べ床面積は460平方メートルと広大。ここでは、進化する洋上風力発電技術に対応し、信頼性の高い次世代の風力発電用軸受を試験・開発するための活動が行われます。
洋上風力発電の未来
洋上風力発電は、再生可能エネルギーの中でも重要な役割を果たす技術です。特に、風車の大型化が進む中、大同メタルはその先駆者としての位置を確立しています。2022年1月に、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成プロジェクトに採択されたこの開発は、洋上風力発電の低コスト化と性能向上を追求しています。開発金額は約12億円、そのうち約8億円は助成金としてまかなわれます。
新たな試験機の導入
実験棟には、風車用すべり軸受の性能を実証するためのベンチ試験機が導入されます。こちらは、世界で初めての取り組みであり、軸径φ1,000の滑り軸受用ベンチ試験機が設置される予定。これにより、研究機関である佐賀大学や産業技術総合研究所と連携し、風車用すべり軸受のさらなる開発が進められます。実際の試験は2025年5月から始まる見込みです。
定量化されるデータ
この新しい試験機によって得られるデータは、軸受性能解析精度を向上させ、大型風車(10MW以上)の設計に活用されます。また、風車メーカーへの技術提案を強化し、業界全体の発展に寄与することが期待されています。
欧州風車メーカーとの連携
さらに、大同メタルはすでに大手欧州風車メーカーとの間で洋上風力発電機向けの主軸受供給契約を締結しており、なかでもパッド軸受の供給が注目されています。試験評価は現在、実機において進行中で、これにより製品の信頼性が確認されています。
未来のエネルギーを見据えて
大同メタルは、これらの取り組みを通じて、洋上風力発電の事業化を加速し、2050年までにカーボンニュートラルの実現に向けた努力を強化していきます。これにより、持続可能な社会の構築を目指し、多くの産業への貢献を果たす所存です。
企業プロフィール
1939年からの歴史を持つ大同メタルは、自動車、船舶、建設機械など多様な産業領域での軸受(ベアリング)製造・販売を行っています。世界各地で生産・販売・研究開発体制を構築し、特に自動車の半割軸受でのシェアは約33.3%、大型船舶用軸受では約73.0%と、各分野でトップクラスの市場シェアを誇ります。今後の更なる技術開発が注目されます。