AI普及によるエンジニア採用の変化
近年、人工知能(AI)の急速な進化が、エンジニア業界に多大な影響を与えています。株式会社インディバースの調査によると、フリーランスエンジニアの採用形態や求められるスキルにも大きな変化が見られます。
調査概要
インディバースでは、「AIの普及によるエンジニア採用の変化」に焦点を当て、フリーランスエンジニアの依頼担当者と20〜50代のフリーランスエンジニアを対象に調査を実施しました。調査は2025年11月7日から11月12日まで行われ、1,003人が回答しました。
成果物ベースへの移行
調査結果からは、フリーランスエンジニアの依頼内容が、時間単価型から成果物ベースへと変化していることが明らかです。約46.8%の依頼担当者が「成果物ベースの案件が増加した」と回答しています。これは、企業が成果で評価する傾向が強まっていることを示しています。
特に、上流工程での依頼が増える傾向にあることから、AIが自動化できる実装工程に比べて、人間の判断や調整が重要な領域への期待が高まっていると考えられます。このような変化の背景には、開発コストや人件費の高騰、即戦力人材の確保の難しさがあるようです。
重視されるスキルの変化
さらに、依頼時に重視されるスキルも変化しています。「AIツールの登場により、特に重要なスキル」として挙げられたのは、課題発見力や提案力で、37.4%が最も重要視しています。これに続いて、実務実績や成果物の品質が求められるようになっています。
これらの結果は、AIの進化により、単に技術力を有するだけでなく、問題解決力や業務遂行能力がますます重視されていることを示しています。
フリーランス活用の未来
今後、フリーランスエンジニアの活用がどう変化するかについても調査が行われました。依頼担当者の42.0%が、「実装依頼より課題解決型の依頼が増える」と答えています。これは、企業が特定の業務の実行よりも、課題を解決する能力を重視し始めていることを示唆しています。
また、AIや自動化技術を前提にしたチーム開発や、長期的な伴走型案件の増加も考えられ、従来の単発的な依頼から、戦略的な長期協力へと移行していくことが予想されます。
若手エンジニアの現状
しかし、若手や経験の浅いエンジニアの採用はますます難しくなっているとの声もあります。AIによる業務の自動化が進み、代替可能な作業が増える一方で、品質や納期の面から依頼されにくくなっていると感じる担当者が多いようです。この結果、若手エンジニアが実践の機会を得にくくなっている現状が懸念されています。
フリーランスエンジニア自身の変化
フリーランスエンジニアたちも、実際に担当する案件内容や役割の変化を感じています。「一人称で完結できる責任範囲が広がった」と回答したのは30.2%で、設計や企画から参加する案件が増えたとされています。これにより、彼らは単なる実装担当ではなく、より戦略的かつ上流の役割を担うようになっています。
一方、案件が減少したと感じる理由には、単価や条件のミスマッチが挙げられており、企業側の期待水準が厳格化していることが浮き彫りになっています。依頼担当者が求めるスキルも、AIの浸透によりさらに高まっているのです。
まとめ
AIの普及はフリーランスエンジニアの環境を大きく変化させています。技術力だけでなく、創造性や課題解決力が求められる最新の職場環境では、今後の成功はAIを使いこなす能力にかかっています。次世代のエンジニアは、AIと共に働くことが求められ、成果を重視した新たな価値を創造していく役割が期待されています。
以上、AIの普及がもたらすエンジニア採用の変化とその現状についてご紹介しました。フリーランスエンジニアたちは、今後の市場においてどのように変化し、どのようなスキルを磨いていくのかが注目されます。