今治市の地域ぐるみ脱炭素モデルが示す未来のカーボンニュートラル社会
2025年1月17日、今治市では「地域ぐるみでの脱炭素経営支援体制構築モデル事業」の成果報告会が開催され、地域の取り組みが注目を集めました。この事業は環境省のモデル事業に採択され、全国で選ばれた10地域の一つとして民間企業との連携から脱炭素化を進めています。
今治市ゼロカーボンシティ宣言
2023年11月に今治市はゼロカーボンシティ宣言を行い、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするという明確な目標を設定しました。この宣言の理念は、「持続可能な生活と生態系の確保」であり、地域全体が一丸となって取り組む姿勢が伺えます。
今治モデルの三つの柱
今治市では「今治モデル」を構築し、以下の三つの柱を中心に脱炭素経営支援を行っています。
1.
支援の座組の構築
2.
脱炭素経営プログラムの展開
3.
今治グリーンフェローの育成
これらの取り組みは、地域の企業や機関と緊密に連携しながら進められ、持続可能な経済の実現を目指しています。
課題解決に向けたプログラム
企業や支援機関が直面する様々な課題を解決するために、今治市では「意識変容」「行動変容」「行動サポート」という3つのプログラムを導入しました。報告会では参加者が実際に体験した内容についてディスカッションが行われ、効果が確認されました。
意識変容プログラム
「今治脱炭素ビジネスカレッジ」という名称のプログラムには40名以上が συμμεした。温室効果ガス削減に関するカードゲームを通じて、参加者が楽しみながら脱炭素の重要性を学び、「脱炭素を身近に感じられた」という意見も多く寄せられました。約90%の参加者が行動を起こしたいと感じたことも、このプログラムの成功例です。
行動変容プログラム
次に行われた「今治市脱炭素経営スクール」では、実践的なカリキュラムが展開され、自社の排出量を「知る」「測る」「減らす」を学ぶ機会が提供されました。参加者は、自社の課題を明確化し、具体的な脱炭素への第一歩を踏むことができました。
行動サポートプログラム
選ばれた5つの企業には専門家による伴走型支援が提供され、具体的な施策実行までを支援してくれました。参加企業の中には、自社の設備とCO2排出の関係を見直し、具体的な行動へとつながった例も見受けられます。
バリグリコミュニティの役割
本事業の特徴的な成果として、通称「バリグリ」として知られる今治グリーンフェローが誕生しました。この制度は脱炭素経営に関する専門知識を持つ地域の担い手を育成することを目的としており、今年度は19名が認定されました。彼らは地域のリーダーとしての役割を果たし、企業だけでなく広く地域社会に対する意識改革を進めています。
東京での最終報告会と今後の展望
1月29日には東京で最終報告会が開催され、今治市の取り組みとその成果が全国に向けて発表されます。今治市は、ここでの知見を基にさらなる脱炭素実現に向けての支援体制を充実させるための施策を続けるつもりです。具体的には、プログラムの見直しや、人材エンパワメントといった新たな課題に取り組む計画も浮上しています。
地域全体の力を結集しながら、今治市は未来のカーボンニュートラル社会に向けて邁進しています。この取り組みは、他の地域にとっても貴重なモデルケースとなることでしょう。