企業が選ぶ新たな拠点：脱首都圏の流れとその背景を探る

企業が選ぶ新たな拠点: 脱首都圏の流れとその背景を探る

概要

新たな経済構造が見えてきた2024年、首都圏から地方への本社移転の動きが加速しています。帝国データバンクが実施した調査によると、今年、首都圏から地方に本社を移した企業数は363社に達し、過去最多を更新しました。一方、地方から首都圏への転入は296社と減少傾向にあり、67社の転出超過という結果に。このトレンドが続く中、何が企業を地方へと駆り立てるのでしょうか。

総じて見える「脱首都圏」トレンドの背景

最近の企業の本社移転は、リモートワークなど新しい働き方の普及が大きな影響を与えています。テレワークによりオフィスに縛られない働き方が定着し、企業はより良い環境を求めて地方への移転を選ぶケースが増えています。また、働き手のワークライフバランスを重視する潮流も、この動きを後押ししています。さらに、BCP（事業継続計画）対策としての拠点分散や地方創生に貢献する企業となることも、多くの企業が考慮するポイントとなっています。

移転先の地域と業種別の動向

移転先として最も多いのは「大阪府」で、51社が移転しており、この数は過去最多となりました。また、静岡県や兵庫県にも多くの企業が移転しています。特に、サービス業が顕著で、経営コンサルタント業やIT関連の企業がトップを占めています。

それに伴い、地方のリゾート施設やホテル経営を目的に移転する企業も増えています。これは、生活環境を重視した選択と言えるでしょう。

企業規模による移転状況

興味深い点として、首都圏から地方に移転した企業の大半が小規模企業であることが挙げられます。特に「1億円未満」の企業の移転が増えており、この傾向は1990年以来の多さです。しかし、中堅から大企業においても、規模を拡大する一環として首都圏から地方へと本社機能を移設するケースが増加しています。

将来の動向と期待される効果

2025年以降もこの傾向は続くと予想されています。地方創生や災害への備えとしての本社機能分散が注目されており、今後も地方への移転は増加の一途を辿るでしょう。企業のエンゲージメントを重視する傾向も、今後の移転理由に影響を及ぼすと考えられており、生活環境や労働条件の向上を求めて地方に拠点を置く企業が増えていくことが期待されます。