220年の老舗企業が挑む新たなDX、社員発の生成AIムーブメント

創業220年、ミツカングループの挑戦

愛知県半田市に本社を構えるミツカングループは、2018年にデジタル推進組織を設立し、社員自らが主体的にデジタル変革を進めることをミッションとして掲げています。このたび、生成AIを武器にした新たな取り組みとして、2024年10月には「生成AIフレンド会」が立ち上げられました。このコミュニティは、短期間で約200人の社員が参加し、ミツカンの文化を変える大きな一歩となっています。

フレンド会の目的と活動内容

「フレンド会」は、デジタル推進部に所属する若手社員によって企画・運営される社内コミュニティです。コンセプトは「ともに楽しむDX」。これは、役職や部門の壁を越えて、生成AIに関心を持つ社員が集まり、自発的に学ぶ場を提供することを目指しています。参加はすべて自発的で、企業文化の中で自由にアイデアを交換することができる環境を整えています。

活動の具体例

フレンド会では、勉強会やワークショップ、社外との交流を通じて、社員同士が生成AIに関する知識や活用事例を共有しています。また、Teamsを利用した情報共有の場も設けられており、活用事例や失敗談を含めた実践的な議論が進んでいます。さらに、自主的な検証プロジェクトに取り組むことで、実務での活用に繋げています。

発足の背景

フレンド会は、生成AIに興味を持つ社員が多く存在しながらも、学びの機会が不足していた状況から生まれました。「この熱意を活かさないのはもったいない！」という思いから、若手社員たちは自らコミュニティを作ることを決意しました。年齢や部署に関係なく、気軽に交流し、楽しく学べる場所の必要性を感じた結果、フレンド会が立ち上がったのです。

アクティブキャンペーンの成果

フレンド会の一環として開始されたアクティブキャンペーンでは、「生成AIを活用して成功したことや失敗したこと」をテーマに、社員がTeams上で投稿を行いました。この取り組みは大きな反響を呼び、50件以上の投稿が集まり、オープンな議論が促進されました。これにより、社員同士が自由に意見を交換する風土が育まれ、組織全体の活性化にも寄与しています。

フレンド会の成長と未来

フレンド会は、開始当初は20人程度の小規模なコミュニティを想定していましたが、現在では約200人にまで成長しました。これは、社員の口コミや自主的な参加が急増した結果です。「生成AIを実務で使いたい」という前向きな声が広がり、部門や役職の垣根を越えた学びの熱意が新たな文化を生み出しています。

現在の取り組みと今後の展望

現在、ミツカンでは生成AIを活用した様々なプロジェクトが展開されています。例えば、アジア向けのWebサイト構築や新商品のマーケティング戦略の検討など、多岐にわたります。また、営業本部内での生成AI部がスタートするなど、今後の企業活動においても生成AIの重要性が増していくでしょう。

日本・アジア事業CDOの渡邉英右氏は、今後の展望として「人間とAIが共存するエージェンティックAI時代の到来」を語り、ゼロベースでの新たな価値提供や効率化への挑戦を強調しています。社員一人ひとりがデジタル社会で活躍するためのスキルを磨き、社会全体に貢献する企業へと成長することを目指しています。