防災意識を高めるaxes femmeの取り組み
レディースアパレルブランド「axes femme」を展開している株式会社アイジーエーは、昨今の自然災害の増加を受け、スタッフの防災意識を高めるための取り組みを行っています。特に、集中豪雨や台風、地震などが頻繁に発生する中、店舗の店長やスタッフ一人ひとりが「自分事」として防災を考えることが急務であると感じ、店長研修会に際し防災セミナーを実施しています。
この取り組みの背景には、2019年の台風19号や2024年の能登半島地震など、実際に自社の店舗が被害を受けた経験があります。過去の教訓を踏まえ、スタッフがそれぞれの命を守る行動ができるようにするため、外部講師を招いての防災セミナーが企画されました。講師として招かれたのは、株式会社EnPalの代表取締役である金藤純子さんです。
金藤さんは自身の豪雨被害の経験を通じて、災害を「他人事」として捉えず、常に「自分が当事者である」という意識を持つことの重要性を説いています。彼女が述べた「『ハザードマップなんて見たこともなかった』」という言葉は、多くの店舗スタッフにも衝撃を与えました。これにより、リスクへの理解がなければ適切な備えも行えないことを実感し、昨年のセミナーではまず自らの環境について知識を深めることが目的とされました。
知ることから始まる備え
昨年のセミナーでは、「知る」というテーマのもとが設定され、自宅や勤務店舗のリスクを調査するための「重ねるハザードマップ」などを用いたグループワークが行われました。具体的には、各自の住環境や店舗の危険要因を検討し、それに基づいたスタッフ研修が進められました。
今年のセミナーはさらに一歩進め、「地震10秒診断」や「東京備蓄ナビ」といった新たな防災ツールも活用し、自他のリスクをさらに詳細に調査することが求められました。参加者は具体的な数値と実態を把握しながら、避難経路、家族構成、ペットの存在など、避難時の様々なシナリオを考慮して行動計画を立てる必要があることを学びました。
災害時の家族との連携
金藤さんは、避難行動の際の家族とのコミュニケーションの重要性についても触れました。「避難したい気持ちを持っていない家族がいる場合、どれだけ強い説得力を持っても、時間がかかれば危険が増す」との警鐘は、多くの店長たちに深く響きました。事前に家族と話し合い、避難時の選択肢を明確にしておくことが、一つの備えとして位置づけられました。
参加者の声
研修後のアンケートには、スタッフたちが自身の備蓄や避難経路についての意識を高めていることが伺えます。例えば、一人暮らしのスタッフは「収納が少ないので、備蓄方法をもっと調べたい」とのコメントを寄せました。また、他の参加者は「避難所までの経路確認が重要だと感じた」と述べ、具体的な行動計画を立てる必要性を訴えました。
地域での連携とサポート
金藤さんは、これからの地域でのつながりを強調しました。「自助、公助、そして共助が必要です」と語り、特に一人暮らしの世帯での地域における協力関係を築くことの重要性を指摘しました。店舗同士や、地域コミュニティとしてのつながりを深めることが求められています。
このように、株式会社アイジーエーは防災に対する企業の義務と責任を再認識し、全社員が自ら行動できるようにする取り組みを継続していく方針です。
防災意識を高める取り組みは、スタッフの命を守るにとどまらず、地域や会社全体が危機的状況に対応できる体制を整えることにつながるでしょう。今後も、様々な知識と経験を生かし、より安全な環境づくりに貢献していくことが期待されています。