スマート保安を実現する新たな技術開発に取り組むソラコムと大崎電気の連携
株式会社ソラコムと大崎電気工業株式会社は、商業施設などの電気設備におけるスマート保安の実現に向けた検証モデルを共同で開発しました。近年、人手不足が深刻化している中で、電力やその他ライフラインの保安業務をデジタル技術で効率化する需要が高まっています。そこで、大崎電気はスマート保安を実現するために、ソラコムのIoT通信技術を活用し、実証モデルの開発に至りました。この新しい取り組みは、商業施設の管理業務において新たな解決策となることが期待されています。
スマート保安の必要性の背景
日本では少子高齢化が進行し、労働力人口の減少が大きな社会課題となっています。その影響は、特に電力管理において深刻で、多くの商業施設やビルでは電気主任技術者が点検作業を行う必要があります。しかし、熟練した技術者の人手不足が顕著で、確実な電力の検針や管理が難しくなっています。この現状を踏まえ、大崎電気は中期経営計画において、労働力の減少や脱炭素社会への対応を進める新たなソリューションの提供に力を入れています。
自動検針ソリューション「らくらく検針」
大崎電気の取り組みの一環として、2023年には自動検針ソリューション「らくらく検針」が開発されました。このシステムにより、既存の電力量計をスマートメーターに置き換えるだけで、電力使用量を自動で遠隔計測することが可能になります。この技術を活用することで、検針業務の効率化と精度向上が期待できるのです。特に、IoT通信技術を搭載することで、全国どこでも安定したサービス提供が実現されました。
スマート保安に向けた検証モデルの開発
次なるステップとして、大崎電気は「らくらく検針」に続き、設備保安業務の効率化と高度化に貢献するスマート保安ソリューションの開発に取り組みました。開発された検証モデルは、同社のマルチデータ収集装置とソラコムのIoT基盤を組み合わせて構成されています。この装置は、さまざまなセンサーと接続され、電気設備の状態に関するデータを常時監視します。これにより、漏電や過電流の異常を早期に発見することができ、点検作業の負担を軽減し事故を未然に防ぐことが期待されています。
未来の展望と両社の意気込み
大崎電気は今後この検証モデルを用いた実証を進め、スマート保安ソリューションの本格導入を目指しています。将来的には、自動検針とこのスマート保安ソリューションを統合することで、施設管理業務全体の効率化が実現される見込みです。さらに、大崎電気とソラコムはこの取り組みを通じて、持続可能な社会の実現へ向けて引き続き協力する意向を示しています。
両社のコメントによると、「ソラコムのIoTプラットフォームの柔軟性と迅速な実装が、エネルギー利用の効率化を可能にしています。今後もお客様のフィードバックを大切にしながらサービスを進化させ、社会に貢献していきたい」とのことです。
この新たな協力関係により、商業施設やビルの電力管理が適切に行われ、ひいては持続可能な社会の実現に寄与することが期待されます。