時代の価値観を反映した広告手法が新たな市場を開く
2024年8月、名古屋で開催された第7回国際知識革新と発明に関する会議では、明治大学商学部の加藤拓巳専任講師と日本電気株式会社(NEC)の小泉昌紀シニアプロフェッショナルが共同で発表した研究が注目を集めました。この研究は広告における時代の価値観に対する配慮が、消費者の購入意欲にどのように影響を与えるかを検証したもので、2件の研究が「Best Conference Paper Award」を受賞しました。
研究1:広告で描写される夫婦の家庭像
一つ目の研究では、電子レンジを使用した家電広告における「夫婦の家庭での様子のあるべき姿」をテーマにしました。最近、広告業界では、時代の価値観に敏感になっており、特に「夫が仕事で妻が家事」といった古い価値観よりも、「夫が家事をし、妻が仕事に出る」という現代的な家庭像が消費者に好意的に受け入れられることが分かりました。実際、この広告モデルが商品に対する魅力を高めることが明らかになりました。この結果は、性別に関係なく評価者全員に当てはまりました。
この研究は、広告のコンセプトだけでなく、社会情勢や時代の価値観に基づくメッセージが消費者に強く響くことを示しています。このような広告表現の工夫によって、企業のブランド価値が向上し、ひいては売上増加に寄与することが期待されます。
研究2:日本の大学生が求める職場の魅力
二つ目の研究では、日本の大学生を対象にした新卒採用情報に関する調査を行いました。調査の結果、大学生にとって魅力的な職場の要素として最も支持されたのは「リモートワーク」でした。パンデミック後、企業は出社を促進していますが、学生たちの志向はリモートでの働き方を求めていることが浮き彫りになったのです。
業界全体で職場環境や多様性、カジュアルな服装、スキルアップの機会などが強調されていますが、これらの要素の効果の比較が不十分だったことが問題視されていました。この研究結果は、企業が採用戦略やHR制度を見直す際に、リモートワークの重要性を再確認するための貴重なデータとなります。
今後のマーケティング戦略に向けて
加藤講師の言葉によれば、現代の消費者のニーズを捉えたマーケティング戦略を構築するには、リサーチに基づいた具体的なデータの収集と分析が不可欠です。デジタル時代において、企業は時代の変化に敏感になり、消費者が何を求めているのかを探る重要な役割を担っています。
この研究の成果は、今後の広告戦略や人材採用に関する方針に大きな影響を与えると考えられており、これからのマーケティングの進化を期待させるものでした。
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