誰のための真実か?
「探偵マインド」とでも言うべきか、森田みどりという名の女性が主人公の新作小説『彼女が探偵でなければ』は、9月28日に株式会社KADOKAWAより発売される予定です。この作品は、精緻でビターなテイストで描かれた連作ミステリが織りなす物語で、特に短編「スケーターズ・ワルツ」は第75回日本推理作家協会賞〈短編部門〉を受賞している注目作です。
本作は、探偵としての彼女と彼女自身の内面的葛藤を描いた作品です。人の本性を暴くことに執着し続けるみどりは、自身の母親としての役割や探偵社のリーダーとしての立場に立ちながら、自らの行動に対する疑問に悩み続けます。特に母親であった時の混乱や自身の探偵という職業がもたらす影響、果たして彼女の知った真実が本当に幸せなのか、というテーマを掘り下げています。
収録されている短編「時の子」では、父を失った少年が探偵に出会い、二人の間で展開される物語が語られます。また、みどりが関わる事例には、様々な背景を持つ少年たちが登場します。この探偵業務を通じて、彼女は自らの探偵人生と向き合いながら、新たな真実に挑む姿勢が描かれます。
書店からの期待
作品のリリースを前に、全国の書店員からの感想も多数寄せられています。「真実を明かすことが必ずしも幸せにはつながらない。しかし、彼女はその真実を追い求めている。彼女の強い決意や信念は読む者に強く訴えかける」という声や、「みどりの成長と彼女の思考の深さが描かれている作品」に期待が集まっています。
著者の逸木裕氏は、広範な経験を背景に精緻なストーリーテリングを実現しており、特に人間ドラマの部分に力を入れています。彼が描く登場人物たち、一人一人の心の葛藤は、私たち読者にとっても共感できる重要なテーマとなることでしょう。
作品の詳細
『彼女が探偵でなければ』は336ページのボリュームがあり、装画はげみ氏が担当、ハードカバーで出版されます。定価は1,980円で、電子書籍版も同時配信される予定です。様々な形で読者の心に響く作品となること間違いなしです。
この作品が描くのは、探偵業務を通じて明かされるさまざまな真実と、それに伴って訪れる心の痛み。果たしてそれは、彼女にとっての正義なのか、幸せなのか。彼女が選ぶ道はどこなのか、ぜひ読者自身で確かめてみてください。