職場での孤独感を考える
2025年5月、転職サービス「doda」を運営するパーソルキャリア株式会社が有する調査機関『Job総研』が「2025年 職場の孤独実態調査」を実施しました。この調査には576名の社会人男女が参加し、職場での孤独を感じた経験やその背景、孤独感が仕事に与える影響について年代別・性別・役職別に分析されています。
新型コロナウイルスと孤独
調査結果は、特に新型コロナウイルス以降の人間関係の希薄化を反映しています。以前は職場での顔を合わせる機会が多かったものの、リモートワークの増加で人とのつながりが減ったため、孤独感が増したと考えられます。調査によると、全体の69.2%が職場で孤独感を抱いていると回答しました。
コロナ禍前の2019年には19.8%だった孤独感が、2025年には67.2%に増加するなど、直近7年で最多の数値となっています。この背景には、出社回帰の流れがあるものの、かつてのように人とのつながりが簡単に感じられないという現実があると分析されています。
年代別・性別に見る孤独感
調査によると、職場で孤独感を感じる割合は年代による違いも顕著です。特に50代の男性が73.8%で最も多く、30代も73.1%という結果が出ています。反対に、若い年代である20代は68.3%。職場で孤独を感じる理由としては、人間関係の希薄さや、相談しにくい環境が挙げられました。
孤独感の実態と影響
さらに、孤独を感じる場面について尋ねた結果、人間関係の希薄さを実感した時が最も多く34.8%、次いで職場で雑談が少ない時や、上司や同僚に相談しにくい時が続きました。孤独感による仕事への影響については、83.0%が何らかの形で影響を感じているとし、それにより不安やストレスが増大したり、帰属意識が下がる要因となっています。
特に「退職を考えた」と回答した人は66.7%に上り、職場の孤独感が仕事辞める原因の一部となっていることも明らかになりました。
孤独感を軽減するために
では、孤独感をどのように解消できるかという問いに、職場での対策を尋ねたところ、60.1%の人が「特に何もしていない」と発言。さらに、職場以外でも孤独を感じていると答えた人も多く、リラックスできる場所や、カジュアルな対話できる空間が必要との声が挙がりました。
これらの結果から、職場内の孤独感を軽減するためにはリラックスできる環境作りと、自然な会話ができる場を増やすことが重要であると考えられます。
最後に
2025年のこれら調査結果は、私たちが働く環境がどのように変化しているかを浮き彫りにしました。そして、孤独感を感じている人たちが目の前にいることに気付くことが、まずは重要な一歩です。これからの「働き方改革」には、この現状を受け止め、職場での人間関係の再構築や、対面での交流の場を増やす取り組みが一層求められることでしょう。