太陽光発電施設を守る新たな試み
近年、茨城県における太陽光発電施設での盗難が増加し、特に金属製のケーブルが狙われるケースが目立っています。この深刻な問題を解決するために、株式会社旭テクノロジーが中心となって「ドローン警備システム」の実証実験が2025年11月より開始されます。この取り組みは、茨城県庁が推進するデジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として、次世代の警備体制を実現することを目指しています。
太陽光発電施設が直面する課題
茨城県はその平坦な地形や豊富な日照条件から、日本一の太陽光発電施設が集まる地域とされています。しかし、同時に盗難被害も増えており、特に銅線などの金属ケーブルが多数盗まれる原因となっています。広大なメガソーラー施設では、人手による24時間警備が難しいこともあり、固定監視カメラでは死角が生じやすい問題も抱えています。
こうした状況を受けて、旭テクノロジーは県庁と連携し、最新技術を駆使した堅牢な防犯体制の構築に挑戦することになりました。
実証実験の具体的な内容
実証実験では、出力2,000KW以上の大規模太陽光発電施設において、以下の技術を利用します。
自動航行ドローン
自動で飛行ルートを設定し、定期的に画像を撮影するドローンが、現地に操縦者が不在でも運用可能なシステムを導入します。また、自動で離着陸し、充電も行うことができるドローンポートも設けられます。
遠隔監視システム
撮影された映像はリアルタイムで遠隔地に送信されます。可視光カメラに加え、夜間でも活用できる赤外線サーマルカメラが搭載され、暗闇に隠れた侵入者を検知することができます。
犯罪抑止効果
「ドローン警備中」といった看板を設置し、物理的な監視に加え、心理的な抑止効果の評価も行います。これは犯罪が発生しにくい環境を作り出すことにつながります。
目指す効果と今後の展望
この実証実験の目的は、以下の点を中心に検証されます。
1.
侵入検知能力: ドローンによる上空からの監視で、不審者や車両を早期に発見できるか。
2.
夜間・悪天候時の運用安定性: 赤外線カメラによる夜間監視や悪天候時のシステムの安全性を確認します。
3.
運用コストと実用性: 費用対効果を算出し、社会実装に向けたビジネスモデルの評価を行います。
実証実験の結果は2026年2月に報告書として取りまとめられる予定で、他の太陽光発電施設や重要インフラへの導入も視野に入れています。旭テクノロジーは、この挑戦によって地域の防犯力を高め、安心・安全な社会形成に寄与することを目指しています。
会社情報
株式会社旭テクノロジーは1984年に設立され、兵庫県姫路市に本社を持つ企業です。発電所やプラントのメンテナンス、太陽光発電設備の設計・施工、そしてドローンを活用したサービス開発を行っています。地元地域の課題解決に積極的に取り組む企業として、今後の展開に期待が寄せられています。