アサヒグループ、Leiber社の株式取得による新たな展開
アサヒグループ食品株式会社が2025年3月5日付で、ドイツのビール酵母関連製品製造販売会社「Leiber GmbH」(ライバー社)の株式取得契約を結んだことが発表されました。この契約により、アサヒグループ食品は2025年4月末を目処にLeiber社の株式を完全に取得する計画です。
Leiber社の概要
Leiber社は1954年に設立され、BtoBビジネスを展開する企業で、乾燥酵母や酵母エキス、酵母細胞壁を活用した様々な製品を提供しています。調味料、機能性素材、動物飼料、細胞や微生物用培地を製造しており、ドイツを中心にスペインやポーランドに合計6つの工場を持ち、欧州、中東、アジア、北中南米への販売網を展開しています。
この株式取得により、アサヒグループ食品は欧州における酵母事業の基盤を確保し、国内での酵母培養技術や酵母製品の加工技術を活かして、さらなる事業拡大を図る考えです。
市場の成長と機会
昨今、酵母エキスは調味料としての機能が注目され、特にうま味やこく味を引き立てることから、多くの食品で使用されるようになりました。さらに、健康志向やプラントベース食品の需要が高まる中、酵母エキスの市場は年平均成長率8.5%での拡大が予測されています。
社会的意義
将来的には、グローバルな食糧不足が懸念されていますが、酵母の持つタンパク質や食物繊維が豊富な特性は、食文化の多様化に貢献する可能性を秘めています。アサヒグループ食品は安全で安心できる酵母エキスや細胞壁を提供することで、持続可能な社会を実現するための取り組みを続けていくとのこと。
CEOのコメント
アサヒグループ食品の社長、川原浩氏は、今回の投資によりグローバルな酵母製品市場に新たな一歩を踏み出すことを強調し、Leiber社の技術力と販売ネットワークを融合させることで新たな価値を創出し、会社の成長ドライバーとして育成していく意向を示しました。
アサヒグループの歴史と展望
アサヒグループは明治時代からビール製造プロセスにおける酵母の研究を開始し、1930年に胃腸薬「エビオス錠」を販売したことを皮切りに、1966年には日本初の酵母エキスを開発するなど、長年にわたり酵母の有効活用を積極的に行ってきました。さらに2024年1月からは茨城工場での酵母生産拡大に向けた取り組みを進めており、アサヒグループ食品の市場における競争力を確保することが期待されています。
今後、アサヒグループ食品は、Leiber社との連携を通じて、酵母市場における新たな成長の柱として位置付けるとともに、持続可能な社会実現に向けた取り組みを強化する考えです。