呂敬人の優雅な書藝を紐解く展覧会
2025年2月12日から3月27日まで、東京・銀座のギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)では、中国の著名なブックデザイナー、呂敬人氏の展覧会「書藝問道 ブックデザイナー呂敬人の軌跡」が開催されます。この展覧会は、中国の出版文化の豊かさを再発見し、ブックデザインの新たな道を切り開いてきた彼の業績を紹介するものです。
呂敬人氏の足取り
呂敬人氏は1947年に上海で生まれ、1968年から文化大革命による農村下放プログラムを受けて、約10年間労働に従事していました。その後、1978年に中国青年出版社に入社し、1989年には日本に来日。ここで、日本の戦後デザイン界における巨星、杉浦康平氏との出会いが、彼のデザイン人生を大きく変えるきっかけとなりました。当時、中国ではブックデザインという職種が確立されておらず、彼は杉浦デザイン事務所での学びを通じて、書籍設計の重要性に目覚め、自国の伝統文化を基に新たな方法論を築いていきました。
展覧会では、呂敬人氏が制作した目を見張るような豪華本が展示されます。1階では、宋代の拓本を復刻した『朱熹榜書千字文』や、全長10メートルの『絵図五百羅漢詳解』、囲碁の実戦を楽しむことができる『忘憂清楽集』など、全8点がダイナミックに展開されます。地階では、京劇、お茶、篆刻など、中国固有の文化にまつわる書物が27点展示され、呂氏の解説付きでその深さに迫ります。さらに、2階ライブラリでは、手にとって楽しめる作品集や彼の自著も紹介されています。
大きな影響を与えたブックデザイン
現代中国における多様な造本文化の礎を築いた呂敬人氏のデザインは、国内外で多数の賞を受賞してきました。特に「中国で最も美しい本」賞やドイツ・ライプツィヒの「世界で最も美しい本」賞など、世界的な評価を得ています。また、彼は国際グラフィック連盟(AGI)のメンバーとしても活躍し、国内外で個展を開催しています。彼の著作も多岐にわたり、デザインや出版の分野での影響力は計り知れません。
参加型イベントも充実
展覧会のオープニングデーである2月12日には、特別なギャラリートークも行われる予定です。呂敬人氏自身が参加し、彼の作品の背後にある考えや、杉浦康平氏との関係などについて語られます。参加は無料ですが、事前予約が必要です。その他にもイベントやオープニングパーティーの情報はgggのウェブサイトで随時更新されるとのことです。
この展覧会は、呂敬人氏の独自の視点から捉えた中国の文化を理解するための貴重な機会です。中国芸術の核に迫る精緻なブックデザインの世界をぜひ体感してください。
開催概要
- - 会期: 2025年2月12日(水)~3月27日(木)11:00~19:00
- - 会場: ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)(東京都中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル)
- - 休館日: 日曜日・祝日
- - 入館料: 無料
この展覧会を通じて、呂敬人氏がどのようにして中国におけるブックデザインの可能性を広げたのかを知ることができるでしょう。日本における初めての大規模な展示であり、最高のアートに触れる絶好のチャンスです。